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4月の「正社員不足」、過去最多  特に人手不足の業界は?

帝国データバンク(東京都新宿区)は「人手不足に対する企業の動向調査」を実施した。その結果、正社員が不足している企業は半数以上に上ることが分かった。

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 帝国データバンク(東京都新宿区)は「人手不足に対する企業の動向調査」を実施した。その結果、正社員が不足している企業は半数以上に上ることが分かった。

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人手不足に対する企業の動向調査
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正社員・非正社員の人手不足割合、月次推移(帝国データバンク調べ)

 2023年4月時点における全業種の従業員の過不足状況を尋ねたところ、「正社員が不足」とした企業は51.4%だった。例年4月は新卒新入社員が加わるため、月次の人手不足割合はやや低下する傾向があるにもかかわらず、今年は5割を上回る結果に。前年同月比では5.5ポイント増加となり、4月としては過去最高を記録した。また、「非正社員が不足」という割合は30.7%となり、4月としては4年ぶりに3割超の水準に上昇した。

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人手不足割合推移、各年4月(帝国データバンク調べ)
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正社員の人手不足割合、上位10業種(帝国データバンク調べ)

 正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」(75.5%)が最も高い結果となった。月次ベースでは6カ月連続で業種別トップとなり、深刻な人手不足が続いていることがうかがえる。次いで、IT人材不足が顕著な「情報サービス」(74.2%)が続いた。回答した企業からは「案件が多いものの人手が足りない、という状況が継続している」(ソフト受託開発、神奈川県)などの声が寄せられた。

 「メンテナンス・警備・検査」(67.6%)は9カ月連続、「建設」(65.3%)は12カ月連続で6割超の高水準となった。また、24年4月から時間外労働の上限規制が設けられることで「物流2024年問題」として注目されている「運輸・倉庫」(63.1%)も6割を超えた他、レンタカー業界などを含む「リース・賃貸」(60.7%)はコロナ禍以降で最も高かった。レジャーシーズンの到来やビジネス需要の高まりが背景にあると考えられる。

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非正社員の人手不足割合、上位10業種(帝国データバンク調べ)

 非正社員の業種別では、「飲食店」(85.2%)が唯一8割を超えた。飲食店は、パート・アルバイトなどを含む非正社員の就業者が全体の7割以上を占めていることが特徴で、就業者数がコロナ前まで回復していない状態が続いている。次いで、正社員で業種別トップとなった「旅館・ホテル」(78.0%)が続いた。その他、「飲食料品小売」(58.7%)や「娯楽サービス」(47.2%)など、個人向け業種が上位に多く並んだ。

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「旅館・ホテル」「飲食店」の人手不足割合、月次推移(帝国データバンク調べ)

 アフターコロナに向けての動きが本格化する中、企業の人手不足感は高止まりの状況にある。回答した企業からは「新型コロナ禍で抑制されていた人流の活性化や旅行支援、イベントやスポーツ大会の正常化などで高稼働の状況が続くが、人手不足で十分な対応ができない」(大分県、旅館)との声が寄せられた。今後は訪日外国人客の更なる増加が期待される中、外国人労働者の確保やDXなどによる合理化投資が急がれると、調査元の帝国データバンクは予想している。

 調査は4月17〜30日に実施。調査対象は全国2万7663社、有効回答企業数は1万1108社(回答率40.2%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は06年5月より毎月実施し、今回は23年4月の結果を基に取りまとめた。

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