AIは人間の仕事をどこまで奪う? 共存はできる? ChatGPTから返ってきた6項目の回答:働き方の見取り図(3/5 ページ)
人間の仕事は、このままAIに奪われてしまうのか――。機械が代替できる仕事とできない仕事の境界線は、これまで人間が人間自身の役に立つために何を行ってきたかを掘り下げることで見えてくる。仕事にまつわる3つの要素「実務」「価値」「責任」にフォーカスし考察する。
生成AIによる提案書作成も、そもそも提案書作成に必要なキーワードは人間が提示する必要がありますし、提案書を使ってプレゼンテーションするのも人間です。それら複数に渡るタスクにもマルチに対応できる人間に対して、AIや機械が対応できるのは一部のタスクだけに限定されます。AIなどの目覚ましい発達ぶりをみると、やがてその性能は人間が人間自身の役に立つために行ってきたすべての実務を代替できるほどにまで発達するかもしれません。しかし、仮にそれが実現できたとしても、一つの機械だけでマルチに対応できるようにしようとすると、難易度はもう一段高くなります。
「書類を届ける」「事務業務を行う」「提案書を作成する」といった各々のタスクに対処するには、「郵便配送ロボット+RPA+生成AI」という具合に、異なる機能を持つ機械を組み合わせなければなりません。その点、人間であればすべてのタスクを一人でこなすことができてしまうのです。
人間のようにマルチな実務能力を持つ機械といえば、ドラえもんのようなロボットが思い浮かべられます。しかし、そのようなロボットが実際に開発可能なのか、開発できたとしてどれほどの年月がかかるのかは分かりません。アニメだと、ドラえもんの誕生は2112年9月3日です。
レーシングカーが開発されても陸上競技がなくならない理由
次に、仕事における価値について。AIや機械は、あらゆる機能において人間を凌駕しています。もし、速く移動したい時、人間の足では時速50キロのスピードすら出すことができません。しかし、レーシングカーを使えば時速300キロのスピードで移動することだって可能です。
ところが、速く移動する能力では機械に勝つことができないのに、いまも人間は陸上競技で足の速さを競い合っています。ただスピードという“現象”だけを求めるのであれば、レーシングカーにはとても敵わないと分かった時点で、人間は自身の足の速さに価値を感じなくなり競い合うことを止めるはずです。
しかし、いまも陸上選手たちが足の速さを追求し、世界陸上やオリンピックなどで競い合う姿が人々の感動を誘うのは、人間が人間としての限界に挑戦し、能力を高めようとするからこそ生まれる価値があるからに他なりません。機械を使うことで生まれるスピードの価値と、人間が自らの足で生み出すスピードの価値は別なのです。
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