AIは人間の仕事をどこまで奪う? 共存はできる? ChatGPTから返ってきた6項目の回答:働き方の見取り図(2/5 ページ)
人間の仕事は、このままAIに奪われてしまうのか――。機械が代替できる仕事とできない仕事の境界線は、これまで人間が人間自身の役に立つために何を行ってきたかを掘り下げることで見えてくる。仕事にまつわる3つの要素「実務」「価値」「責任」にフォーカスし考察する。
まず、仕事における実務についてです。機械はこれまでにも既に、人間が行ってきた数多くの実務を代替してきました。その事例は枚挙にいとまがありません。例えば、郵便配送という仕事の際、かつては飛脚(ひきゃく)が自らの足を使って移動していました。しかし、いまや移動には自動車やバイクが利用されています。郵便配送の仕事に必要な“移動する”という実務の担い手は、人間自身の足から機械へと置き換えられました。
文書の作成もかつては人間の手を使って文字を書いていましたが、いまこの記事はPCに入力して作成しています。また、近年ではロボット技術を用いてソフトウェアに作業工程を覚えさせ、自動的に事務業務を処理するRPA(Robotic Process Automation)を導入する職場も増えました。
例えば、Googleで地図を検索してその地図を画面コピーし、Excelを開いて所定の位置に貼り付けるといった事務業務をRPAは自動でこなすことができます。かつては、Google検索とExcelへの貼り付け、という複数のソフトウェアをまたぐ作業は人間にしかできませんでした。しかし、RPAは複数のソフトウェアにまたがる作業工程を丸ごと記憶して、自動的にこなしてしまいます。
ドラえもんはまだ現実世界にいない
さらに、生成AIにいたっては、提案書の内容やアイデア出しなど人間の思索工程まで代替するようになってしまいました。例えば、ChatGPTに「広報とマーケティングの違いを箇条書きで教えてください」と尋ねると、「両方とも組織や企業が情報を発信し、関係構築を行うための重要な機能」と共通点を示した上で、広報とマーケティングそれぞれの特徴について箇条書きにし、両者の違いまで整理して解説してくれます。
このように、機械はその発達とともに、人間が行ってきた実務を次々に代替してきました。ただ、ほとんどの場合において、代替されてきたのは実務全体の中の一部のタスクに過ぎません。郵便配送の“移動する”という実務については、担い手が人間の足から自動車やバイクに替わりましたが、自動車やバイクを操作する運び手自身は人間です。最近は郵便配送ロボットも現れましたが、どんな場所でも移動できる訳ではありませんし、雨の日や配送先が不在だった場合など、臨機応変な対応においてはまだまだ人間の方が一日の長があります。
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