ジャニーズ事務所、企業としての「5つの問題点」とは? 炎上対応の専門家が解説:危機管理広報の重要性(1/4 ページ)
ジャニーズ事務所での故ジャニー喜多川氏による未成年者への性加害疑惑が連日話題となっている。5月14日、現事務所社長である藤島ジュリー景子氏は、公式サイト上で謝罪動画を公開した。炎上トラブル対応の専門家である新田龍氏は、事務所の対応を「お話にならないレベルの酷さ」と指摘する。その理由はというと……。
ジャニーズ事務所創業者である故ジャニー喜多川氏(2019年没)による未成年者への性加害疑惑に、大きな関心が集まっている。
5月14日、現事務所社長である藤島ジュリー景子氏は公式サイト上で謝罪動画を公開し、各所からの質問に対して回答した文書を掲載した。圧倒的な人気を誇るタレントを数多く輩出し、芸能界で大きな影響力を持つ老舗事務所のスキャンダルとして、連日報道が過熱している。
芸能ニュースとしての報道は専門のメディアにお任せするとして、この記事では筆者の専門分野である企業の炎上トラブル対応とレピュテーション(評判)リスク管理の観点から今回の不祥事対応や危機管理広報体制、そして事務所の組織運営に問題はなかったのか考察していきたい。
事務所が発表した公式声明の概要
ジュリー氏による謝罪動画と、各所からの質問回答文書は、ジャニーズ事務所の公式サイトに掲載されている。声明の概要は次の通りだ。
- 声明発表まで時間を要したのは、社内調査や弁護士・専門家との協議を慎重に進めていたため
- BBC報道や告発については、事実であれば深刻な問題だと受け止めているが、告発内容について、事実かどうか言い切ることはできない
- ジャニー氏の性加害は知らなかったし、ジュリー氏は取締役ではあったが、ジャニー氏とメリー喜多川氏が事務所のことを全て決定していたので、知る術がなかった
- 過去の文春記事にまつわる高裁判決についても知らされておらず、ジャニー氏が名誉毀損で文春を訴えたということは、やっているはずがないことの証左だと考えていた。ジャニー氏本人も強く否定しており、当時は厳重注意で終わっていた
- 再発防止策として、コンプライアンス委員会を設定し、社外取締役を迎えるなどして取組を強化していくが、本件にまつわるヒアリング調査を望まない関係者もいるので、第三者委員会を設置した形での徹底調査は実施しない
- カウアン・オカモト氏とは面談した。その他の被害を訴えている人たちに対しては誠実に向き合っていく
- 経営責任を感じているが、辞職せず、この問題に向き合って改革改善をやり抜くことが責任の取り方だと考えている
この声明発表に対して「従前は決して表に出てこなかったジャニーズ事務所経営陣が、顔出しで謝罪動画を公開すること自体が前代未聞だ」などの声も聞かれた。
だが、危機管理広報・炎上トラブル対応の専門家としては「対応姿勢も中身のなさも、お話にならないレベルの酷さ」としか言いようのないものであった。具体的に何が問題なのか、5つのポイントに分けて解説していきたい。
事務所の声明における、5つの問題点とは
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