幸楽苑の“低迷”はどうなる 「安くてうまいものを提供する」ビジネスの行方:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
幸楽苑ホールディングスの業績が低迷している。コロナ禍で苦戦していた外食産業は多いが、ライバルの日高屋は黒字化。このほかにも復活しつつある店が増えている中で、幸楽苑はどのような手を打てばいいのだろうか。
御年79歳の父が、49歳の息子のやることに黙っていられなくなって「選手交代」――。そんな高齢化社会を象徴するような出来事が先日起きた。
5月15日、幸楽苑ホールディングス(HD)の新井田昇社長(49)が6月23日に退任し、父親で創業者の新井田伝氏(79)が会長兼社長に就任すると発表した。
伝氏は1978年に社長に就任してから40年間経営を行い、幸楽苑を一大チェーンに成長させた辣腕経営者だが、18年には会長となり、21年6月に相談となり一線から身を退いていた。しかし、それからわずか2年でカムバックとなったというワケだ。
ご存じのように、引退した創業社長が現場に復帰する会社というのは「ピンチ」に直面しているパターンが多い。幸楽苑も然りだ。23年3月期連結決算で、最終利益が28億円(前期は3億円の黒字)の赤字となっている。
伝氏が会長を退任した際の「役員退職慰労金」の辞退を申し出たということからも、このピンチがかなり深刻なものだということがうかがえよう。
そう聞くと、「やっぱり外食はコロナ禍で大変だったからなあ」と同情的に見る人も多いだろうが、競合である「熱烈中華食堂日高屋」(運営:ハイデイ日高)を見ると、そうとも言い難い。
日高屋はコロナ禍が直撃した21年2月期に約29億円の最終赤字に陥ったが、翌22年2月期には黒字に転換して、23年2月期も約15億円の黒字となるなど着々と立ち直っている。
幸楽苑といえば、福島の食堂からスタートして今や全国で418店舗(5月30日現在)を持つ日本最大級のラーメンチェーン。シンプルでうまいラーメンを低価格で提供し、ファミリー層から「おひとりさま」まで、幅広いファンをもっている。
関連記事
- バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の共通点は何か 両社がハマった沼
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」が苦戦している。贅沢品を扱う両社はなぜ低迷しているのか。共通点を探してみると……。 - 大塚「おにぎり ぼんご」はなぜ人気なのか 休日は6時間待ち
JR大塚駅の北口から徒歩2分、老若男女から熱烈な支持を得る、おにぎり専門店「ぼんご」。平日は2時間以上、土曜や祝日は6時間ほどの待ち時間が発生する。何が人々をここまで魅了するのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.