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幸楽苑の“低迷”はどうなる 「安くてうまいものを提供する」ビジネスの行方スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

幸楽苑ホールディングスの業績が低迷している。コロナ禍で苦戦していた外食産業は多いが、ライバルの日高屋は黒字化。このほかにも復活しつつある店が増えている中で、幸楽苑はどのような手を打てばいいのだろうか。

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なぜ低迷したのか

 そんな外食チェーンの雄が、なぜこんなに低迷しているのか。

 いろいろなご意見があるだろうが、筆者は「うまいものを安く提供する」という考え方にとらわれて、時代の変化についていけなくなってしまったことが大きいと思っている。

 人口が増えている時代は、こういう考え方でビジネスをすると成功した。競合が増えても消費者も増えるので「安さ」や「味」という強みがあれば勝ち抜けたのである。

 しかし、人口が減る時代に同じ考え方を続けてもジリ貧だ。競合が増えても消費者が減っていくので、「安さ」や「味」を極めても結果が伴わないのだ。

 幸楽苑は後者に陥ってしまっている可能性がある。人口増時代の「成功の方程式」が忘れられない。時代は変わったと頭では理解しながらも、気がつくと、今の時代にマッチしない「人口増時代の戦い方」ばかりを選んでしまっているのだ。


チャーシューめん(760円)

ダブル餃子「極」(500円)

 では、その「成功の方程式」とは具体的にどんなものか。伝氏は日経ビジネスのインタビューで、なかなか店舗が増えなかった時代についてこのように語っている。

 『壁に突き当たって悩んでいた時に出会ったのが、(流通業界のコンサルタントとして知られる)ペガサスクラブの故・渥美俊一先生の本でした』(日経ビジネス 2012年11月23日)

 ご存じの方も多いだろうが、渥美俊一氏とは、チェーンストア経営研究団体「ペガサスクラブ」を率いた経営コンサルタントで、「日本のチェーンストア業界の父」と呼ばれる御仁だ。

 実際、ペガサスクラブ設立当初のメンバーは、ダイエーの中内功氏、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏、ジャスコの岡田卓也氏という錚々(そうそう)たる顔ぶれで、渥美氏の指導を受けた企業も続々と全国チェーンに成長した。その中でも有名なのが、ニトリだ。似鳥昭雄会長は渥美氏を「人生の師」と仰いでおり、渥美氏の死後、自宅を買い取って「渥美俊一記念館」にしたことでも知られている。

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