幸楽苑の“低迷”はどうなる 「安くてうまいものを提供する」ビジネスの行方:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
幸楽苑ホールディングスの業績が低迷している。コロナ禍で苦戦していた外食産業は多いが、ライバルの日高屋は黒字化。このほかにも復活しつつある店が増えている中で、幸楽苑はどのような手を打てばいいのだろうか。
牛丼の「吉野家」がヒントに
じゃあ、幸楽苑は付加価値を付けることがないのかというと、そんなことはない。ヒントになるのは、牛丼の「吉野家」だ。
ご存じの方も多いが今、吉野家は「黒い吉野家」に力を入れている。この店舗は、カフェのようなおしゃれな店内で、ゆったりとしたテーブル席でドリンクバーやアイスなどのサイドメニューもそろえ、カフェのみの利用もできる。この黒い吉野家を24年度までに既存店からの転換も含めて500店を目指すという。
牛丼の吉野家といえば、サラリーマンや学生がカウンターに座って注文をして、牛丼をかき込んで退店していくスタイルだ。「安くてうまい」を提供して、いかに客をたくさん効率よく回していくのか、というビジネスモデルでここまで成長してきた。
しかし、人口減少でそれが立ち行かなくってくることを見据えて、牛丼だけではなく「カフェ」という付加価値をつけて勝負しているのだ。
ロードサイドの多い幸楽苑もこの戦い方は参考になるのではないか。つまり、ラーメンを提供するだけの店舗ではなく、営業車で外回りするサラリーマンが快適に仕事をしたり、女性客がケーキを食べながら談笑できるコメダ珈琲のような機能も合わせた「ラーメン喫茶」へと業態換えをしたりしていくのである。
バカバカしいと思うかもしれないが、『「マックのコメダ化、コメダのマック化」近づく両雄、ガチンコ対決を制するのは?』でも触れているが、コロナ禍でのリモートワークの普及以降、ロードサイドでのカフェ需要には、多くの外食チェーンが注目をしている。
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