台頭する「カルビ丼」専門店 吉野家HDも参戦 「東京チカラめし」との違いは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
ファストフード業態として「カルビ丼」が台頭している。吉野家と焼肉きんぐの運営会社がそれぞれ参入。かつて隆盛を誇った「東京チカラめし」との違いはどこにあるのか。
吉野家系列「かるびのとりこ」
吉野家ホールディングスの新業態であるかるびのとりこは、23年2月23日、東武日光線の杉戸高野台駅から歩いて5分ほどの日光街道沿いにオープンした。吉野家としては10年ぶりの新業態とのこと。以前には、一人鍋の専門店など、なかなか面白い専門店もあったので、期待感が高い。
実際に行ってみると、ほんのすぐ近くに吉野家もあり、運営側としては好立地の物件が見つかったが、追加の吉野家をつくるわけにもいかないだろうと思われた。
コロナ禍の中で開発された業態なので、非接触性の高さをアピール。ドライブスルーが重視されている。顧客の半数は、テークアウトとドライブスルーということで、コロナが蔓延(まんえん)していた時期に吉野家の売り上げが落ち込んだ反省が生かされている。
専用容器に入れて、熱々のスンドゥブを持ち帰れる店がなかなかないので、重宝されている。このような持ち帰り需要の多さもあって、かるびのとりこは想定以上の売り上げで好調に推移しているという。2号店、3号店と広がっていく期待が膨らむ。
なお、スンドゥブは韓国の豆腐が入ったからい鍋料理で、ヘルシーだというので女性に人気がある。東京、大阪、名古屋、福岡、札幌などに定食スタイルでスンドゥブを食べさせる専門店もあるほどだ。
かるびのとりこの外観は、どこかで見たようなデジャブ(既視感)を覚えた。
メニューは、かるびのとりこも簡素化されていて、「牛かるび丼」(並590円)や「スンドゥブ」(690円)をメインに、サイドメニューは冷麺、サラダ、キムチなどに絞られている。
牛かるび丼のサイズは5種類あり、特大の「横綱」は940円、さらに大容量の合計1キロある「理事長」で1190円となっている。また、牛かるびに上かるびを加えた2種盛、温玉、旨塩、炙りチーズ、キムチ、ねぎ玉などのトッピングがある。
スンドゥブは、野菜増量が無料となっていて消費者にはうれしいだろう。ご飯と3点ナムルが付いた定食では940円。牛かるび、海鮮、チーズ、玉子のトッピングがある。
牛カルビ丼とミニスンドゥブなどのお得なセットも用意しており、980円または950円で提供されている。
前出の焼きたてのカルビとの最大の違いは、ユッケジャンスープに代わってスンドゥブが提供されていることだ。しかし、ユッケジャンスープに豆腐を入れたらスンドゥブになるので、あまり代わり映えがしないようにみえる。その意味で、豆腐は貴重な差別化に役立っているといえよう。
なお、吉野家でも牛カルビ丼が提供されているが、並盛624円なので、かるびのとりこのほうが若干安い。味つけはかなり違い、かるびのとりこはより焼肉風のタレになっている。見た目も、吉野家の方は肉の上にネギが乗っているから、明確に異なっている。また、店内の雰囲気が、かるびのとりこのほうがファミリーでもゆっくりできるつくりなので、利用目的の使い分けが提案されている。
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