台頭する「カルビ丼」専門店 吉野家HDも参戦 「東京チカラめし」との違いは?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
ファストフード業態として「カルビ丼」が台頭している。吉野家と焼肉きんぐの運営会社がそれぞれ参入。かつて隆盛を誇った「東京チカラめし」との違いはどこにあるのか。
全国的に展開している「韓丼」
さて、焼きたてのかるびとかるびのとりこがベンチマークしたと目されるのが、韓丼というチェーンだ。韓丼は京都市に本社がある、1988年(昭和63年)創業のやる気という会社がフランチャイズ(FC)で展開している。同社は、韓丼の他、焼肉「やる気」、肉バル「銀次郎」などを京都市を中心に経営する外食企業だ。
韓丼は、北は東北の秋田県から南は九州の熊本県まで約70店を、郊外ロードサイドに出店している。大都市の中心部にないので、目に付きにくいが既に全国的に展開しているチェーンである。
1号店の新堀川本店が、京都市の伏見区にオープンしたのは、2010年9月。
三光マーケティングフーズ(現・SANKO MARKETING FOODS)は東日本大震災の後に焼き牛丼専門店の東京チカラめしを展開し始めた。東京チカラめしの1号店は11年6月オープンの東京・池袋西口店(既に閉店)で、韓丼のほうが早かった。東京チカラめしもまた、韓丼をベンチマークした可能性がある。
韓丼の公式Webサイトには、「韓丼のカルビ丼は、焼き牛丼に焼肉専門店の味わいを加えて、ファストフード商品に仕上げた商品」と説明されている。
韓丼の店に行くと、オープンキッチンになって、調理スタッフがジェットオーブンに通したカルビを網焼きするシーンが見られる。炎とともに肉を焼き、特製ダレで仕上げていく。
また、「スン豆腐」は、豆腐とアサリ、牛スジ、ホルモン、豚肉などさまざまな具材をトウガラシベースの調味料で煮込んでいる。
メニューは、「カルビ丼」(並590円)と「スン豆腐」(690円)が2本の柱。
カルビ丼はサイズが小、並、大盛と3種類あって、キムチ、温玉のトッピングがある。また、「上カルビ丼」「焼肉丼」「ハラミ丼」「ねぎ塩牛タン丼」などの肉の部位を変えた商品もある。
スン豆腐はホルモン、海鮮、白海鮮、豚キムチ、牛スジ肉、具だくさんうま辛といった種類が販売されている。さらに、ラーメン入りのスン豆腐もある。
その他、ビビンバ、カルビといった鉄板定食や、サイドメニューとしてサラダ、キムチ、わかめスープなどが展開されている。
お得なセットメニューとして、お好みの「スン豆腐」と丼(小)のセットが、990円から販売されている。
韓丼はファストフードにしては食事の提供が早いとはいえないが、ある程度の時間の余裕がある人ならば、丁寧に調理しているので、値段相応以上の満足感が得られるのではないだろうか。だから、現在は改善されているものの、一時期の東京チカラめしのように、提供が早くてもずさんな調理で、顧客の信用を失うことはなかった。
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