「アンナミラーズ」姿を消して1年、人気のパイはどうなったのか:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
米国発のレストラン「アンナミラーズ」が姿を消して、1年がたとうとしている。高輪店が閉店してから、運営会社はどんな手を打っているのだろうか。オンライン上で粛々と販売していて……。
報道後、なぜ“てんやわんや”したのか
「チェリーパイを食べたいなあ。買いたいなあ」と思ってネットで調べると、アンナミラーズの名前が上位に表示される。チェリーパイを販売しているところが少ないといった背景があったので、同社はそこに商機を見出し、オンラインショップの目立つところに掲載した。購入画面にすぐにたどり着けるようにしたところ、コンバージョン率は1%未満から2%ほどに上がったという。
売り上げが少しずつ少しずつ伸びていく中で、最大のピンチが昨年6月に訪れる。冒頭で紹介したように、高輪店の閉店を発表したところ、オンラインショップに注目が集まって、その日の夜にパンクしてしまったのだ。
これ以上注文を受けても、生産が間に合わない。お客に迷惑をかけるのは重々承知のうえで、いったん閉じることに。2週間ほどの時間をかけて生産体制を見直し、再開できたのは7月に入ってからである。それでも完売する日が続き、「アンナミラーズのファンがこれほどいるとは思いませんでした」(原さん)と振り返る。
時計の針を2〜3カ月ほど進める。高輪店が8月末に閉店して、10月にバーチャルショップを立ち上げる。高輪店のテークアウト用のパイカウンターそのものを用意して、商品をクリックすると紹介画面が表示される。購入ボタンを押すと、オンラインショップで購入できるという仕組みだ。
ただ、ファンにとってはオンラインだけでは物足りない。リアル店舗だと、パイは20種類ほど扱っていたが、ネット上だと6〜7種類ほど。ということもあって、期間限定でポップアップショップを開くことにした。これまでJRの高円寺駅と川口駅の改札外で販売したところ、ほぼ毎日完売した。しかも人気は、ここでもチェリーパイだったそうだ。
……とここまで書いていて、気になることが浮かんできた。「機会損失」である。高輪店が閉店することは事前に聞いていたので、準備する時間があったはずである。「たくさんの注文が入るよね。通常の3倍、いや5倍は用意したほうがよいよね」といったやりとりはできたはずである。ポップアップショップでも同じである。完売が続いたということは、それだけチャンスを逃していることになる。
なぜ、このような事態に陥ったのか。関係者に話を聞いていくうちに、控え目というか、謙虚さというか、ブランドに対して過小評価している姿勢がうかがえたのだ。
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