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世界はマルチパスウェイに舵を切った! 「BEVはオワコン」という話ではない:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
カーボンニュートラルの早期達成に向けた取り組みが、各所で進められている。最近発表された4つのニュースを見ていこう。
このところ、自動車業界では大きなニュースが次々と届いている。ほんの少し前まで、電気自動車だけが唯一絶対のソリューションであり、「世界はEV化に舵(かじ)を切った」という言葉が合言葉のように言われていたのだが、見る見るうちに様子が変わっている。
4つのニュースを時系列に並べてみよう。
マルチパスウェイに舵を切る
最初は、日本自動車工業会が4月4日に発表したリリースだ。リリースを抜粋する。
世界中の自動車メーカーにとって、道路交通の脱炭素化は共通の目標であり、その実現に向けた取り組みが行われています。しかしながら、OICA(国際自動車工業連合会)のフレームワークが強調するように、すべての国にとって2050年までのカーボンニュートラルに向けた実用的で持続可能な道筋を提供するためには、多様、かつ技術にとらわれないアプローチによる柔軟性が必要です
一読すれば瞭然だが、要するに言っていることは「BEV一本槍は無理なので、マルチパスウェイでやりましょう」という話。ちなみに、この発表に名前を連ねている自動車工業会は以下の通り。
- 欧州自動車工業会(ACEA)
- イタリア自動車工業会(ANFIA)
- 米国自動車工業会(Auto Innovators)
- カナダ自動車工業会(CVMA)
- カナダ国際自動車製造者協会(GAC)
- 日本自動車工業会(JAMA)
- フランス自動車工業会(PFA)
- 英国自動車工業会(SMMT)
- ドイツ自動車工業会(VDA)
つまりこの声明は、自動車生産国の主要どころの総意ということになる。
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