カシオの電卓パッケージ「プラ→紙」に なぜ国によってデザインが違うの? :経済の「雑学」(1/3 ページ)
カシオ計算機の電卓パッケージが「プラスチック→紙」に変わりました。SDGsの一環で紙を採用しましたが、海外はどうなっているのでしょうか? 欧州では3年前から始めていて、国によって違いがあるようです。
カタカタカタカタカタ――。仕事やプライベートで電卓を使っている人は多いと思いますが、パッケージにちょっとした“変化”が起きていることをご存じでしょうか。
カシオ計算機は電卓のパッケージを「プラスチック→紙」にすることを発表しました。6月に始めたばかりなため、店頭に並んでいるのはまだプラが多いようで。紙を目にするのは、もう少し時間がかかりそうですね。
最大の特徴は、外箱に実寸サイズの製品画像を印刷しているので、パッと見ただけでサイズが分かること。それにしてもなぜカシオは、電卓のパッケージを「プラ→紙」に変えたのでしょうか。同社に聞いたところ「SDGsの一環として始めました」とのこと。
紙にすることで、プラの量をどのくらい削減できるのかというと、年間340トンほど。従来のパッケージと比べて、サイズを小さくしているので、輸送時のCO2削減にも期待しているそうです。
こうした動きに「時代の流れ」を感じられたかもしれませんが、社内外から反対の声もあったそうです。「どこにでもいるんだよねえ。何か変えようとすると、異議を唱える人たちって」と思われたかもしれませんが、反対派の意見には納得できる部分も。ひとつは、商品が見えなくなってしまうこと、もうひとつは、キーボタンを押せなくなること。
紙にリアルな絵が描かれているので、商品のイメージはなんとなく伝わると思いますが、キーボタンの感触を確かめることはできません。電卓を購入するときに、プラの上から「カタカタカタ」と感触を確かめたことがある人も多いはず。この「カタカタカタ」ができなくなると、売り上げの減少が懸念されるので、反対派の中から「キーボタンのところに穴をあけて、押すことはできないか?」といった意見もあったそうです。
ただそれをしてしまうと、パッケージの強度がどうしても落ちてしまう。補強するために緩衝材などを入れる→サイズが大きくなってしまう→環境に負荷がかかる、といった流れになってしまうので、この案は却下。結局、3年ほどの時間をかけて、担当者は説得して回ったそうです。そして、ようやく「プラ→紙」が実現しました。
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