コラム
キングジムの筆箱「ポーズー」が売れている 試作品の“ブサカワ猫”にじわじわ:週末に「へえ」な話(3/5 ページ)
キングジムの「ポーズー」をご存じだろうか。「ぬいぐるみタイプ」のペンケースで、若い人を中心に人気を集めているのだ。開発を担当した人に完成までの話を聞いたところ、苦労があって……。
「重要な数字」が抜けていた
なぜ仕様書と試作品に大きな違いが生まれたのだろうか。その原因を知るために、横山さんは、おもちゃ屋のぬいぐるみコーナーに足を運んで、店頭に並んでいる商品と試作品の顔を比べてみた。
それでもよく分からなかったので、動物園のお土産コーナーでぬいぐるみを購入して、自宅に持ち帰る。かわいらしいぬいぐるみと試作品のかわいくないぬいぐるみのどこに違いがあるのか。じーっと、見比べる。何度も何度も、見比べる。理想のかわいらしさはどこに潜んでいるのか、追求していくうちにあることに気付いた。
仕様書で重要な数字が抜けていることが分かってきたのだ。それは目と目の距離である。顔のどの位置に目を置くか。細かな指示を出していなかったので、試作品をつくる人たちも「こんな感じかな」といった形でつくっていたのだ。
「これではいけない」と感じた横山さんは、何度も何度も目の位置を調整する。「ポーズーの顔の大きさに対して、目と目の間を25ミリにすることで、『かわいい』と感じることができました」(横山さん)と振り返る。
このほかにも、目の大きさを変えて、顔の大きさを調整して、さまざまなところに手を加えていく。開発に9カ月ほどの時間をかけて、22年3月にようやく完成したのだ。
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