Gap「最後の旗艦店」閉店は、必ずしもマイナスではない!? アパレルのイロハ、専門家に聞く:セールの功罪(2/2 ページ)
米ギャップの日本法人ギャップジャパン(東京都渋谷区)が、旗艦店「Gapフラッグシップ銀座」(東京都中央区)を7月31日に閉店する。最後の旗艦店閉店は、ブランドにとってマイナスしかないのではないか。専門家によると、必ずしもそうではないようだ。
「セール」をやりすぎると……
米ギャップの直近の業績を見ると、20年は売上高138億ドル、営業損益は6億6000万ドルの赤字だった。21年は166億ドルの売上高に対し、営業損益は2億5000万ドルの黒字にまでに回復。しかし22年は156億ドルの売上高に対し、営業損益は2億200万ドルの赤字となった。
「好調だった08年当時の売上高は145億ドルで、見比べれば『急激に減った』など極端なことが起きたわけではありません。しかし、赤字は増えています。これは稼ぐ力がない、すなわち値下げが多いことを意味しています」
実際に、ギャップでは頻繁にセールが行われている。「消費者からすれば安く買うことができてラッキーと思うかもしれませんが、それは最初の数回だけです。それ以降は、セールが当たり前になってしまい、定価では売れなくなっていきます。定価では売れないからセールをして……という悪循環に陥っているのです」
今後の復活のカギを握るのは?
ギャップが日本に上陸したのは1995年。2009〜10年ごろに起きたファストファッションブームの頃には、高級志向の強い銀座に旗艦店を構えるほどの勢いがあった。「ギャップだけでなく、08年にはH&M、09年にはアバクロ、10年にはForever21が銀座に出店しています。ギャップの店舗はもともともともとハイブランドのヴィトンが入る予定だったそうで、その時のファストファッションの勢いが感じられます」
しかし、ブームはいつか廃れるものだ。いつの間にかファストファッションの人気は古着や韓国アパレルに取って代わられた。「ギャップの不振の要因は、今のファッショントレンドに対応できていないことでしょう。ジーンズ離れなど、ギャップが得意とするスタイルは向かい風が吹いています。国内のトレンドを引き付けるような有効なプロモーションを打てるかが、今後の復活のカギを握ります」(磯部氏)
旗艦店はある程度採算がとれなくても、広告宣伝効果があれば残すものだ。しかし、それをしなかったということは、今のギャップに経営の余力がないと磯部氏は指摘する。現在、米ギャップは会長のボブ・マーティン氏がCEOを兼任。新しいCEOは現在探しているとのことだが、新CEOがどのようなかじ取りをし、どんなトレンドを打ち出すのかに注目だ。
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