「焼肉きんぐ」300店舗達成の衝撃 ライバルは苦戦しているのになぜ?:ロードサイドで成長(2/3 ページ)
「焼肉きんぐ」の勢いが止まらない。店舗数が増え続け、300店舗を突破している。ライバルが苦戦しているのになぜ好調を維持しているのか。
有るようで無かった食べ放題焼肉店
焼肉きんぐの店舗数推移を見ていくと07年に1号店をオープンさせた後、11年半ばには50店舗となり、14年6月期には100店舗を突破した。18年6月期には200店舗を超えている。コロナ禍でも店舗数は19年6月期末時点の223店舗から22年6月期末時点で286店舗(直営・175、FC・111)へと伸びている。
同社の焼肉部門売上高(主に「焼肉きんぐ」の直営店売上高で構成)も同期間で301億円から390億円へと増加していることから、コロナ禍では単に店舗数を増やしただけでなく収益も伸びたことが分かる。
東日本大震災以降、焼肉チェーン市場全体が緩やかに伸びているとはいえ、焼肉きんぐは破竹の勢いで拡大している。この間、牛角や安楽亭などの競合は軟調に推移した。
焼肉きんぐが伸びた理由には、意外にも競合が食べ放題焼肉に力を入れてこなかった背景がある。特に物語コーポレーションが強みとするロードサイド立地で食べ放題焼肉という業態は少なく、焼肉きんぐは競合の少ない領域で店舗数を伸ばせた。
ファミリー層をターゲットとした戦略も成功要因の一つである。肉類だけでなくサイドメニューも豊富で、フライドポテトやお子様カレーといった子ども向け商品も充実している。小学生料金は半額であり、一番人気の「きんぐコース」(3498円)の場合、夫婦2人・子ども2人で約1万円で済むのも、消費者にはリーズナブルに感じられるだろう。
また、テーブルオーダー制を取っている点も乳幼児を連れた家族や高齢者にはウケたようだ。取りに行く面倒もなく、子どもから目を離す心配もないため安心して焼肉を楽しめる。実際、週末に店舗を訪れると家族連れでにぎわっている。
コロナ禍でもこのテーブルオーダー制が有利に働いたようだ。他の客と密集することも無いため衛生面で不安を感じさせず、旅行や外出が憚(はばか)られる自粛期間中のささやかな楽しみとして焼肉きんぐに客が集まった。都市部ではなくロードサイドという店舗立地も伸びた要因の一つだろう。
一方で同じく食べ放題焼肉として知られる「すたみな太郎」はビュッフェスタイルを取っており、衛生面で懸念されたためかコロナ禍では約140店舗のうち半分が閉店に追い込まれてしまった。
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