いまだにChatGPTの禁止を議論している組織が知っておくべき、AI開発競争の未来(2/4 ページ)
ChatGPTのリリースから半年が経過。AI関連サービスの拡がりや進化している。ただ、生成系AIがあまりに急速に普及した関係で、サービスの倫理や規制の議論が追いついておらず、ネガティブな印象を受けている方も少なくない。
検索エンジンとAIチャット機能が統合する時代に
ChatGPTの禁止を議論している方の中には、まるでChatGPTだけ禁止すれば問題を先送りできるように考えている方がいるようですが、そもそもChatGPTのようなチャット型のAIというのは、いまやChatGPTだけではありません。
GoogleもBardというAIチャットをリリースしましたし、OpenAIと連携しているマイクロソフトも検索エンジンのBingにAIチャット機能を提供しています。
特に、マイクロソフトのBingのAIチャット機能は、Bingの検索機能に組み込まれるようになってきていますし、GoogleのBardも競合に対抗するために同様に変化する可能性があります。
つまり、AIチャット機能を社員が使う際に発生するリスクを、完全に回避したいのであれば、極端な話、検索エンジンへのアクセスも禁止することになりかねないのです。
もちろん、短期的にChatGPTを運用するOpenAIだけは信用できないから禁止するというのであれば話は別ですが、AIチャット機能を社員が利用するリスクを遮断するつもりなのであれば、ChatGPTだけを禁止しても意味が無い時代に突入しつつあります。
今後もさまざまなAIチャット系サービスが誕生する予定
しかも、こうしたAIチャット機能や対話型AIは、他にもさまざまな企業が開発していたり、今後サービスリリースすることを宣言しています。
OpenAI、Microsoft、Googleに匹敵する開発能力がある企業としてはFacebookグループを運営しているMetaグループの名前があがっています。
また、OpenAIの立ち上げに携わったことでも有名なイーロン・マスク氏は、著名人とともにAI開発競争を止めるべきだという署名活動をしながら、その裏で自らのAI開発企業を立ち上げる準備を進めていることが話題になりました。
また、日本でもサイバーエージェントが国内最大級の日本語大規模言語モデルを公開し、話題になっているように、いまや世界中の企業がこの分野の関連サービスを開発しています。
(参考:サイバーエージェント、国内最大級の日本語LLMを公開)
実は現在のChatGPTのようなAIチャット系サービスのベースとなっているのは「Transformer」というアルゴリズムで、基本的には入力された単語に対して続く文章を確率的に予測する大規模言語モデル。
AIの専門家である清水亮さんの言葉を借りると、「大規模言語モデルの内部構造自体には特筆すべき要素がない」ため、開発力がある企業であれば比較的容易に参入できてしまう領域なのです。
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