「送料無料」はこのままだと“絶対”になくならない、歴史的な理由:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
ネットで買い物をする人にとって、常識となっている「送料無料」という言葉が消えるかもしれない。いわゆる「2024年問題」で、政府は物流の見直しを図っている。その流れの一環で、送料無料が問題視されているわけだが、本当になくなるのか。
何かとつけてネットでポチる人にとって「常識」となっている「送料無料」という言葉が近い将来、消えてしまうかもしれない。
自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで、現在の物流網が維持できなくなる、いわゆる「2024年問題」を解消するため、政府が「物流革新に向けた政策パッケージ」を公表した。その中の目玉である「商慣行の見直し」の中に、こんな記述があって注目を集めているのだ。
『運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、「送料無料」表示の見直しに取り組む』
当たり前の話だが、奴隷制度や丁稚奉公のない現代日本では送料無料なんてシステムは成立しない。しかし、現実にはこの言葉がちまたにあふれて、「今時、送料とるの? ひどい通販だな」なんてモンスター客を大量生産している。
なぜこんな奇妙な現象が起きるのか。販売会社や宅配会社は効率化などの「経営努力」だと説明するが、いくら努力をしても配送コストがゼロになることなどあり得ない。では、どうしているのかというと、基本的に売値に配送コストを上乗せしていたり、販売会社が大手宅配会社側と大口の取り扱いを約束するなかで、ボリュームディスカウントしていたりしている。要は実際にかかっている配送コストの名目を変えて、タダっぽくゴマかしているわけだ。
そういう無理をするので、そのツケは誰かが払わなくてはいけない。そこでよく指摘されるのが、中小零細の宅配ドライバーたちが、この送料無料スキームを成立させるための「犠牲」になっているという話だ。
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