「超冷却Tシャツ」が人気 “ひんやり”アイテムにどんな技術が詰まっているのか:猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(5/5 ページ)
クラウドファンディングを実施中の「超冷却Tシャツ」が1600万円を超える応援購入額を集め、ヒットしている。4月には同じ素材を使用した「超冷却ブランケット」もプロジェクトを実施しており、4000万円を超える応援購入額が集まった。「マイナス15度の究極冷却テクノロジー」が使われているというが、一体どんな技術なのか。
アパレルの「新たなカテゴリ」目指す
クラウドファンディングによる自社ブランド製品の発表と平行して、ハップ社では自社の通販サイトも準備中だ。ODM・OEMメーカーとしてB2Bの案件も引き続き請け負いつつ、B2Cにも注力したいという。
鈴木氏が目指すのは、アパレルの新たなカテゴリーをつくること。ラグジュアリーから庶民的まで、あらゆるブランドと相性がいい後加工技術を駆使して、洋服の「カスタマイズ」や「パーソナライズ」のカテゴリーを狙う。
自社のR&D拠点を持つフィンランドでも、カバロステクノロジーを使ったアパレルブランド向けのアップサイクルサービスを展開予定だ。フィンランドを含むEUでは、加盟国に対して25年1月以降、繊維製品の廃棄物の分別回収を義務付けるとしている。フィンランドでは、それよりひと足早く23年1月から分別回収を実施している。
ハップ社が誇る生地への後加工技術は、一部のみ特許を取得している。特許取得により技術が表に出ることを懸念し、あえてブラックボックスにしているのだ。それでも、カバロステクノロジーに類似した、生地にいくつかの機能を付与する後加工技術を持ち始める企業が出てきているとか。
カバロステクノロジーのように10以上の機能を同時付与できるわけではないというが、それでもハップ社にとっては注視すべき存在だろう。
消費者視点でいうと「カバロスウルトラシリーズ」の機能は非常に魅力的だが、販売予定価格が「超冷却ブランケット」2万2000円、「超冷却Tシャツ」1万1000円と価格でちゅうちょするのが本音だ。対して、ニトリの「Nクール」はもっとも冷たいダブルスーパーでも、敷きパッドが3990円〜、肌布団が4990円〜。ユニクロの「エアリズム」は1000円以下のラインアップも豊富であり、「こっちでいいか」と考える人も少なくないはず。
ハップ社がニトリやユニクロと手を組めば、低価格ながら最高レベルの機能を持つ寝具や衣類が誕生するのだろうか。ついそんな期待もしてしまう。
写真提供:ハップ社
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