“松屋風”ロモサルタードが好評 高いレシピ開発力を見せつけたと言えるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
期間限定で販売している“松屋風”ロモサルタードが好調だ。開発の背景にはミツカンの提案もあった。松屋の高いレシピ開発力を見せつける結果となった。
ペルー料理店では顧客層が拡大
さて、そもそものロモサルタードとは、どういう料理なのか。東京・原宿で10年営業しているペルー料理の名店「ベポカ」に聞いてみた。オーナーシェフの仲村渠ブルーノ氏は、ペルー生まれの日系三世だ。
「ロモサルタードは、牛のヒレ肉と野菜を強火で炒めた中華系の料理。家庭でも作りますが、ペルーではよく食べにも行きます。その店、その家ごとの味があります」(同店・広報)
ロモサルタードはペルーの一般的な料理だが、味付けが各人各様で違うということだ。牛のヒレ肉は高いので他の部位を使うこともあるが、豚はまず使わないという。
そもそも「ロモ」は牛のヒレ肉やサーロインという意味だ。「サルタード」は炒め物を意味する。
代用として鶏肉を使うことはあって「ポヨサルタード」と呼ぶ料理になる。
華僑の持ち込んだ中華の炒め技術を使うので、家庭で作るのはかなり難しく、どのペルー料理店でも出せるわけではないそうだ。
ペルーでは一般的にしょうゆを味付けに使う。よく使用され、味の決め手となっているのが、現地の「kikko(キッコー)」というしょうゆ。これはキッコーマンとはかなり違っている。九州のしょうゆに似ていて、甘めの味となっている。
クミンを使う人は多くない。正統派では使わない。また、酢に関してベポカでは赤ワインのビネガーを使っている。
同店によれば、ペルー料理店は20〜30年前から日本にはかなり存在していたという。出稼ぎで日本に来ている日系ペルー人向けの店で、工場の裏手によくあった。日本人が行くようなところではなかったのだとか。日本の製造業が盛んな頃は、人手不足解消のために、南米のペルーやブラジルから多くの日系人を受け入れていた。
ところが、リーマンショック以降は逆に人が余るようになり、日系人が次々と帰国したので、それ以降は減っていたという。
しかし、ペルー料理に熱心に取り組むメキシコ料理店が出てきたり、先述したCentral系列の「MAZ Tokyo」が22年7月に東京・赤坂見附にオープンしたりと、ペルー料理の魅力が少しずつ知られるようになってきている。
ベポカでも、「いまだにはじめましてのお客さまが多くいらっしゃる」と顧客層の拡大を実感している。
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