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なぜ「プリウス」が標的にされるのか 不名誉な呼び名が浸透している背景:高根英幸 「クルマのミライ」(3/7 ページ)
トヨタのプリウスをネットで検索すると、批判的なコメントが多い。ドライブレコーダーの交通事故や暴走ドライバーの動画を目にすることが多いが、なぜプリウスは標的にされるのか。背景を探っていくと……。
ペダル踏み間違いからの急発進に
多くのクルマには、ブレーキペダルを踏んでいないとエンジン始動やPレンジからのシフト操作が行えないようにロック機構が採用されている。これは1980年代のアウディ車で、やはりAT車の暴走事故が起こったことから対策として採用され、以来多くの自動車メーカーも導入している機構だ。
ところが先代までのプリウスはアクセルを踏んだままNレンジやPレンジから、DやRレンジへのシフトが可能で、モーターにより急発進する仕様となっていた。これが前述のセレクターレバーと相まって、ペダル踏み間違いからの急発進につながっていたのだ。
しかし新型プリウスでは、ようやくブレーキを踏んでいないとシフト操作を受け付けない制御が組み込まれた。これによりペダル踏み間違いによる暴走事故には、一定の抑止効果が見込まれると言っていいだろう。
またペダル踏み間違いだけが、ドライバーの操作ミスで起こる事故の原因ではない。認知や判断の遅れから起こる交通事故も多く、直進中の脇見運転や交差点進入時の注意不足も交通事故の原因の多くを占める。
こうしたドライバーのミスを補う運転支援システムも登場している。歩行者や自転車の飛び出しに対して、自動ブレーキと急転舵(きゅうてんだ:進路を変えること)を組み合わせることで衝突を防ぐシステムだったり、交差点への進入時にセンサーで他車の存在を検知したり、減速する機能まで登場した。
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