そば大衆店はどこに行く? コロナで駅そば苦戦 大戸屋やすかいらーくがロードサイドに続々出店:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)
外食大手が郊外ロードサイドに日本そば専門店を続々出店している。駅前や駅中のそばは苦戦している。そば大衆店の最新動向をまとめた。
大戸屋はそばに注力
大戸屋ホールディングスは、今年2月に弁当・総菜のテークアウト専門「大戸屋おかず処」を、東京都調布市の調布パルコにオープン。4月には東京駅丸の内口、丸ビル「マルチカ」に2号店を出店した。
このような大戸屋多様化の第2弾として、蕎麦処大戸屋が提案された。これにより、大戸屋はごはん処、おかず処、蕎麦処と3業態に分化した。さまざまな大戸屋があるのは、消費者サイドから見てややこしい気もするが、大戸屋ブランドをより細かいニーズで拾って、幅広く浸透させていこうというわけだ。コロワイド傘下になる前も大戸屋は新業態にチャレンジしたが、浸透しなかった。大戸屋のブランドはそのままに、新業態を出していこうという試みだ。
現状は、1号店の田無店が、西武新宿線花小金井駅から1キロほど離れた青梅街道沿いにある。2号店の淵野辺店は国道16号線沿いにあり、青山学院大学相模原キャンパスに近い。
蕎麦処大戸屋は店内で粉からそば打ちをしているのが特徴で、窓から製麺室が見える。打ち立て、茹(ゆ)で立てを提供する。
そばつゆが2種類提供されるのもユニークだ。王道の「醤油かえし」とさっぱり「ゆず塩かえし」をそれぞれ鰹のだしで割っている。特に、ゆず塩のつゆは同店ならではの提案だ。素材や調味料を厳選しており、特定の保存料、着色料、香料、調味料を使っていない。
さらに、15年に大戸屋が米ニューヨークのマンハッタンにオープンした、ミシュラン1つ星獲得店「天婦羅まつ井」の技術とノウハウを継承した天ぷらも売りだ。
主なメニューは「“まつ井”天ぷらせいろ蕎麦」(1450円)、「ねばねば野菜のばくだんまぜ蕎麦」(980円)、「“まつ井”天丼」(1380円)、「かつ丼」(1300円)など。
顧客単価は1000円を超えそうで、通常の大戸屋よりも高め。しかし、ファミレスとして見た場合はやや安い部類に入る。
顧客はこちらもファミリー、シニアが多い。若い頃に大戸屋を利用していた人が懐かさを感じて来るケースもあるようだ。八郎そばよりもそばに特化しており、そばを楽しみたい人にターゲットを絞っている。
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