そば大衆店はどこに行く? コロナで駅そば苦戦 大戸屋やすかいらーくがロードサイドに続々出店:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)
外食大手が郊外ロードサイドに日本そば専門店を続々出店している。駅前や駅中のそばは苦戦している。そば大衆店の最新動向をまとめた。
サガミホールディングスはリーズナブル
名古屋を拠点とするサガミホールディングスは、そば、うどん、名古屋めしを中心にした和食ファミレス業態を、東海、関東、関西、北陸の郊外ロードサイドで手掛けてきた。主なチェーンに「和食麺処サガミ」133店(3月末現在)、「味の民芸」51店(同)などがある。
その同社が手掛けるセルフ式の十割そば専門店が、21年12月より展開を始めた十割そば 二代目長助だ。現状は、愛知県に3店、岐阜県に1店、千葉県に1店と5店ある。
21年10月には愛知県岩倉市に「かき揚げ十割そば 長助」という同じくセルフ式の店を先行して立ち上げた。岩倉の「長助」は券売機で買う方式。「二代目」は讃岐うどんのように、商品を選択し受け取ってカウンターで会計する方式だ。長助には二代目にはない「厚切り肉そば」があるなど、メニューも少し違う。
十割そば 二代目長助は、愛知県扶桑町に1号店の扶桑店をオープン。その後、一宮三条店、岐阜岩滝店、稲沢店を東海地区にオープンしてきた。
そして、5店目で関東に初進出。千葉県野田市の国道16号線沿いに23年3月31日、野田店をオープン。隣は「丸亀製麺」、道向かいは「安楽亭」「味の民芸」といった有名店が居並ぶ立地で、観覧車が有名な「もりのゆうえんち」や野田市役所にも近い。サガミグループの期待のほどが分かる。
店内で石挽きしたそば粉を100%使った十割そばが同チェーンの特徴で、店を入ってすぐに石挽室が見える。茹で立てのそばは、石から挽くだけに、さすがにそばの甘味や香りを感じられる。このクオリティーのそばが1000円以下で提供されていることに驚かされる。そばつゆやそば湯も、しっかりとした味がする。
そばつゆ(もり・ざる専用)、わかめ、わさび、天かす、ソース、天つゆ、そば湯、水、お茶がセルフで取り・飲み放題。卓上には、しょうゆ、唐辛子が2種類、オリジナルの「天ぷら用万能たれ」を常備している。
メニューは「もりそば」(430円)、「ざるそば」(460円)、「おろしそば」(540円)、「大判きつねそば」(560円)、「大和芋のとろろ汁そば」(660円)、「鴨つけそば」(690円)などで、価格は立ち食いそばが意識されている(価格は関東圏のもの)。十割そばでもそれに近い値段で提供しようと努めている。
サイドメニューとして、野菜かき揚げなどの天ぷら、天むすなどのおむすび、若干のお酒やソフトドリンクがある(80円〜)。
システム全般に「丸亀製麺」をそばに変換した趣があるのも特徴だ。
まだまだ知名度が低いが、高齢化が進み、価格に対してシビアな地方で伸びそうだ。
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