東京都の外部DX部隊「GovTech東京」始動 元ヤフー会長・宮坂理事長が語る挑戦への魅力:日本最大級のDX(2/2 ページ)
GovTech東京は、これまで都庁内にあったデジタル部門の一部を東京都の外部団体として再組織し、都政のDXを技術的側面から推進する一般財団法人だ。9月の事業開始に向けて新たなコアメンバーを迎えるべく、10職種の採用を開始した。宮坂氏にGovTech東京で実現すべきこと、展望について聞いた。
「デファクトスタンダード」をつくる意義
昨今の生成AIの急速な普及をはじめ、デジタルツールを取り巻く環境は目まぐるしく変化している。GovTech東京に求められる役割はツールを精査し、必要なものを見極め、全国の自治体への「お手本」を提示することだ。
これまで各自治体の職員が使用するツールやシステムは各自治体で選定、調達してきた。調達にかかるコスト面や教育的なリソース面から見ても非効率だ。GovTech東京は、同団体の役割の重要なキーワードとして「共同化」を掲げる。デジタルへの専門的な知見を生かし、安全性や運用のしやすさを踏まえた適切なツールを選定し、各自治体が参考になる事例を率先して生み出していくという。
デジタルツールが共同化されれば、集中発注によるコスト低減が図れるほか、職員への教育も一本化できる。職員間でのノウハウの共有も期待できるだろう。
「GovTech東京の仕事は、デファクト・スタンダードを生み出すこと。デジタルツールはもちろん、行政内のプロジェクト進行のルールや求人の方法に至るまで整備を進め、枠組みを固めることで、地方はむしろ自由な取り組みができるようになるはずだ」
「混乱を楽しめるマインド」求む
入庁から約4年、都政のデジタル変革に注力してきた宮坂氏が課題視したのが「庁外」の改革だった。都民と行政サービスの接点である区市町村でDXが進まないと、都民の実感にはつながらない。GovTech東京が担うプロジェクトの影響範囲は、62の区市町村、32の外部団体に及ぶ。
「一番大きな現場で仕事をすることでしか得られないノウハウや視点がある。それを体得できるのがGovTech東京で働く体験価値そのものだ」と宮坂氏は魅力を話す。
スタートアップメンバーにはどんなことを期待するか。「『混乱を楽しめる』マインドで望んでほしい。自分で自分の仕事の仕方やルールを作るところから取り組んでもらう。カオスな状況下でも自ら道を切り開ける人を期待する」と宮坂氏は話す。
デジタル活用の遅れが叫ばれて久しい日本の行政組織。その変革の担い手となるGovTech東京の、スタートアップメンバーにはどのような顔ぶれがそろうだろうか。
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