「開けてびっくり玉手箱」方式では、会議の生産性は上がらない:どうあるべきか(2/3 ページ)
ミーティングのその場もしくは直前に資料を配って説明から始める「開けてびっくり玉手箱」方式では、いつまで経っても生産性は上がらない。責任者はそう認識する必要がある。
すると討議のレベルが格段に上がるので、意思決定の質とスピードが段違いによくなる。質問のレベルすら確実に上がる。「開けてびっくり玉手箱」方式だと往々にある「少し先まで待てば説明される事柄」に関しお手つき的に質問がなされるといった、余計な時間を取られることもほとんどなくなる。
多くの人の都合を調整して折角集まった会議で、生産性の低いことに時間を浪費されることが減るということがどれほど有意義か、是非考えていただきたい。
この通り、「開けてびっくり玉手箱」方式というのは実に生産性の低いやり方だ。しかし世間には流布しているとみえ、小生が初見参のクライアントであるとか、既存クライアントでも説明者が初顔合わせで、小生がうっかり事前注意を忘れていたりすると、この「お作法」をお披露目してくれることがたびたびある。
素人ばかりではない。少し前には、一緒のプロジェクトに参加していた経営コンサルティング会社の数人のコンサルタントが平気でこうしたやり方で発表しようとしていた。その会社では基本を教えていなかったのか、新たに参加するコンサルタントが次々と同じようなことをするので、その度に苦言を呈する羽目になってしまった。いい加減あきれた小生はプロジェクト・ルールとして新たに周知したものだ。
ではなぜ「開けてびっくり玉手箱」方式が漫然と繰り返されることがこれほど多いのだろう。1つには企業文化や慣習的なものだろう。小生が以前所属した組織では上から下までこうしたやり方だった。小生は自分の関与する範囲だけでも直すように努めていたが、他部署では疑問を持つことすらなかったかもしれない。
2つめには、日本の企業では能率を上げる意識や時間コストの感覚が以前は厳しく教育されていなかったという実情があろう。最近は随分とましになったようだが、平成の初め頃まではだらだらと長時間勤務することがあまり疑問視されておらず、会議の非効率さを正す動きも一部に限られていた。
そうした時期にビジネスの基本に関する教育を受けた人たちの多くは、根本の部分で時間コスト感覚が緩いように思われる(念のために申し上げておくと、小生自身は完全に昭和世代だが少々変わり者扱いされていた)。
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