自販機業界に地殻変動? 「140円」の缶コーヒーは高いと感じるのに、「1000円」のラーメンが売れるワケ:ラーメン、カレー、駅弁(1/5 ページ)
自販機業界に変化の波が訪れている。これまではたばこや飲料の販売がメインだったところが、ラーメンにカレー、駅弁といった「食べもの」を中心にさまざまな商品がラインアップされるように。いったいなぜ?
最近、日本ではさまざまな商品を売る「変わり種自販機」が増えています。以前は自販機で売るものといえば飲料やたばこが中心でしたが、食品やコスメ、アクセサリーなどを扱うケースも増えているようです。いったい、日本の自販機市場にどんな変化が起きているのでしょうか。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ代表の経営コンサルタント、岩崎剛幸が分析していきます。
「缶コーヒー100円時代」の終焉
2023年の夏は酷暑が続いています。先日外出した暑い日に、水分を取ろうと思い久しぶりに自販機を見て驚きました。買おうとした缶コーヒーが140円だったからです。量が多いペットボトル入りの飲料になると150円、さらには170円の商品までありました。「自販機ってこんなに高かったっけ」と思うほどの商品がズラリと並んでいたため、自販機での購入をやめて、ドラッグストアで購入することに。100円以下で購入できて、とても得した気分になりました。
昨今、どこを見ても値上げの話題が出ていますが、その波が自販機にも及んでいるようです。あらためてメーカー各社の代表的な缶コーヒーの希望小売価格を調べてみました。すると「缶コーヒー100円」時代が終わったことが分かります。
22年10月から各社が値上げを実施しており、いずれも自販機価格が100円を優に超えています。一方、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどに行けば、およそ半値で買えるようです。店頭で買えば100円もしないのに、自販機だと100円では買えない。それどころか、2倍に近い価格で買わされてしまう。そんな状況に陥っているのです。
缶コーヒーは小容量のものが多く、自販機で多く購入される商品です。自販機における価格は、メーカー希望小売価格に消費税を加えた金額よりも低めに設定されることが多いとされます。それでも、メーカー各社にとっては高収益を見込める商品です。ある程度の利益が出ている“稼ぎ頭”だからこそ、各社は容易に自販機価格を下げられないのです。このまま小売店の店頭価格との差がどんどんと大きくなっていけば、自販機離れが進む可能性もあるでしょう。
そもそもここ数年、国内自販機市場はどうなっているのでしょうか。
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