自販機業界に地殻変動? 「140円」の缶コーヒーは高いと感じるのに、「1000円」のラーメンが売れるワケ:ラーメン、カレー、駅弁(4/5 ページ)
自販機業界に変化の波が訪れている。これまではたばこや飲料の販売がメインだったところが、ラーメンにカレー、駅弁といった「食べもの」を中心にさまざまな商品がラインアップされるように。いったいなぜ?
ど冷えもんの発売が21年1月、丸山製麺がヌードルツアーズを開始したのが21年3月ですから、かなり早い段階で冷凍ラーメンを武器に自販機市場に参入したことが分かります。
21年初めといえば、まだ屋外自販機で冷凍食品が売られていることはレアでした。同社が早期に参入できた背景には、あるエピソードがあります。丸山製麺では、20年にコロナ禍で売り上げが激減した際、工場前に直売所を作って製麺販売をしました。すると、行列ができるほどの人気を博したそうです。このことが、ヌードルツアーズのきっかけになりました。
直売所を運営するには人手がかかります。取引先の飲食店やラーメン店の売り上げも、コロナ禍で激減していました。そこで、各ラーメン店のスープを自社で買い取り、店舗で使用している麺を同社が真似て製造。店側の許可が出たものを、冷凍ラーメンとして自販機で販売する方法にたどり着いたのです。
自販機でならばさまざまなエリアへ機動的に出店可能です。ラーメン店には1人で入れない女性もまだまだ多いですし、人気ラーメン店にとっても出店せずに売り上げが生まれることになります。ヌードルツアーズは、作る人・売る人・買う人がそれぞれハッピーになれる、まさに「三方よし」のヒット商品となっています。
しかし、よく考えてみるとヌードルツアーズは1食当たり1000円です。筆者が「高い」と感じた缶コーヒーは140円でした。単価でいえば、冷凍ラーメンの方が圧倒的に高いことになります。にも関わらず、売れています。これは自販機市場が飽和化し、新しい価値を消費者が求めている一つの表れではないでしょうか。
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