自販機業界に地殻変動? 「140円」の缶コーヒーは高いと感じるのに、「1000円」のラーメンが売れるワケ:ラーメン、カレー、駅弁(3/5 ページ)
自販機業界に変化の波が訪れている。これまではたばこや飲料の販売がメインだったところが、ラーメンにカレー、駅弁といった「食べもの」を中心にさまざまな商品がラインアップされるように。いったいなぜ?
コロナ禍が追い風になった、2つの自販機
「券類自販機」を見ると、食券・入場券の自販機が増えています。これはコロナ禍が大きなきっかけになりました。接触を避けるため、飲食店を中心に食券を導入して、現金の受け渡しを避けるようになったことは記憶に新しいはずです。その後も、人手不足を背景に食券制を導入して、レジ対応をなくす店が増えていることも影響しています。今後も券類自販機は増加していくでしょう。
そしてもう一つ増加しているのが、冷凍食品をはじめとした食品自販機です。縮小傾向の自販機市場の中に差す光明といってもよいでしょう。食品自販機の増加にもコロナ禍が影響しています。外食を避け、自宅で食事をとる人が増えたことで、自販機で食品を買うニーズが高まりました。今では扱う食品の種類も増え、さまざまな商品が売られるようになっています。次の画像に、食品を中心として珍しい自販機が登場してきたものの一部をピックアップしました。
食品では、都内を中心にインドカレー店を展開するターリー屋(東京・新宿区)が冷凍カレーを自販機で販売しています。店舗前に設置して、店がオープンしていない時間帯の売上アップを狙っているようです。「カレーも自販機で売るようになったのか」と、見つけたときには驚きました。
「越前かにめし」や「おとなの焼き鯖寿司」などの駅弁を自販機で売り始めた、ジェイアールサービスネット金沢(金沢市)と番匠(福井市)の取り組みは、メディアでも数多く取り上げられて話題になりました。何といっても有名駅弁が自販機で買える体験が斬新ですし、時間がない旅行客のニーズをつかめています。その他、横浜の「シウマイ弁当」で有名な崎陽軒(横浜市)が、店頭に自販機を設置したことも話題になりました。
最近、圧倒的に増えているのが飲料自販機メーカーのサンデン・リテールシステム(東京・墨田区)が開発した「ど冷えもん」です。4種類の棚を組み合わせることで、大型の商品やサイズ違いのものなど多彩な商品を販売できるのが特徴です。電子マネーやQRコード決済のオプションもあり、大手飲食企業を中心に「高単価の冷凍食品を販売したい」ニーズを確実にとらえています。
ど冷えもんを活用して成長しているのが、1958年創業の業務用麺類製造業を営む丸山製麺(東京・大田区)です。全国に冷凍ラーメン自販機「ヌードルツアーズ」の設置を進めています。同社が8月8日に発表したプレスリリースによると、全国200カ所以上に設置され、累計販売数は50万食と人気を博しているようです。
ヌードルツアーズ最大の特徴は、全国の有名ラーメン店とコラボしていることです。「らーめんバリ男」「つじ田」「田中商店」とコラボした冷凍ラーメンを1食1000円で販売しています。
関連記事
- 街で見かける「生搾りオレンジジュース自販機」 どういった仕組みなの? 運営元に聞いた
SNSで「生搾りオレンジジュース自販機」が話題になっている。約45秒で搾りたてのオレンジジュースを購入でき、1杯の価格は350〜500円。4月にシンガポールから日本に上陸したアイジュース社に「生搾りオレンジジュース自販機」の戦略を聞いた。 - 「90秒ラーメン」は広まるのか 米国からやって来た自販機のミライ
米国からやってきたラーメン自販機をご存じだろうか。その名は「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」。わずか「90秒」でアツアツのラーメンが出てくるが、日本でどこまで広まっているのだろうか。取材したところ、やや苦戦しているようで……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.