おせちの「数の子、いくら、サーモン」はどうなる? 百貨店がロシア産の扱いに苦慮 でも「使わないと成立しない」:一部で広告掲載NGも(2/3 ページ)
「おせち料理」の予約商戦が本格化する中、ウクライナ戦争の影響でロシア産食材を使った商品の場合、広告掲載NGになるケースが発生しているという。ただ、「使わないと商品が成立しない」として、百貨店側が対応に苦慮している。
制裁対象外のロシア産水産物 2022年は輸入額過去最高
ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟を巡って米国との対立が激化し、2022年2月に同国に軍事侵攻したロシア。ウクライナ戦争開戦後、日本はロシアへの経済制裁として電子部品や半導体などを禁輸しているが、水産物に関しては国内産業へのダメージを考慮し、対象品目から除外している。
ロシアからの水産物の輸入状況はどうか。財務省が発表した「2022年貿易統計」(1〜12月)によれば、同年1年間の輸入額は1552億3400万円(対前年比12.9%増)で、ソビエト連邦崩壊後の翌1992年以降で最高額を記録。同盟国の米国が水産物も制裁対象としたことで、ロシアが日本への輸出を増やしたことが主な要因とみられる。輸入品目別では「カニ」(タラバガニ・ズワイガニ)が最多で、輸入額は約490億円と全体の3割ほどを占めた。
農林水産省が公表している「農林水産物輸出入概況(2022年)」の国別水産物輸入額を見ると、中国(構成比17.6%)、チリ(同9.5%)、米国(同8.3%)に次いで、ロシアは4位(同7.2%)。同調査では「さけ・ます」輸入額のうち、ロシアの割合は7.7%だった。
野村哲郎農水相は5月9日の閣議後記者会見で「過去最高額と報道されているが、『農林水産物輸出入概況』の水産物の輸入先国としては、2021年は中国が1位、2位がチリ、第3位がロシア。2022年になるとロシアは4位なので、ロシアからの輸入が膨らんだということではない。ほぼ、毎年同じような金額になっている」「魚介類の輸入量は、この10年で見ても大きな変化はなく、魚介類の輸入について昨年が特に増加したという状況にはないと判断している」との見解を示している。
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