「冷凍おせち」強化で“アウェー”首都圏取りなるか 「大丸・松坂屋」正月商戦の今(1/4 ページ)
おせちの予約商戦が本格化する中、大丸松坂屋百貨店が「冷凍おせち」の販売を強化中。関西圏での販売が多くを占める同社にとって、配送エリアを問わない冷凍おせちは、首都圏で存在感を高める大きな武器となる。
正月の定番「おせち料理」の予約商戦が各百貨店で本格化する中、大丸松坂屋百貨店は売り上げ増加の一手として「冷凍おせち」に活路を見出だしている。コロナ禍で帰省が減少し、実家へのプレゼント品に選ばれるなど、ここ数年、売り上げが右肩上がりのおせち。関西・東海での販売が多くを占める同社にとって、配送エリアを問わない冷凍おせちの販売強化は、人口が集中する首都圏で存在感を高める大きな武器となる。トレンドを捉えた商品開発や客単価を上げるための販売戦略など、同社のおせち商戦の“今”を取材した。
「従来のおせちでは限界」 冷凍おせちに活路
同社の売り上げ目標は対前年比5%増。おせち売り上げは直近5年間で29%増加しているが、前年は人流が回復したこともあり、コロナ禍で大幅に売り上げを伸ばした反動で、対前年度比1.8%にとどまった。
そんな中、特に注力するのが「冷凍おせち」だ。同社の調査によると、冷凍おせちの売り上げが「飛躍的に伸びている」という。コロナ禍以降、感染防止で帰省する機会が一時的に減少し、実家におせちを送る習慣が定着したためだ。
従来のおせち(生おせち)は新鮮なうちに迅速な配送が求められる一方、年末年始の繁忙期は配送ドライバーも人手不足になりがちだ。冷凍おせちの販売増は冷蔵庫での自然解凍で食べられるという購入者側にとっての手軽さはもちろん、繁忙期に配送を分散できる点から販売者側にも一定のメリットがある。
「生おせちでは限界があったが、冷凍技術が進化し、効率的におせちを生産できるようになり、品質も安定した。とはいえ、冷凍に向かない原材料もあるので、そうしたものは生おせちに使用するなど、冷凍おせちと生おせちですみ分けする」(同社のおせちマーケ担当者)
同社の主要顧客は関西や東海地域が大半を占めているが、冷凍おせちは配送エリアを問わない。人口が多い首都圏の売り上げも伸ばし、自社のプレゼンスを高める狙いもある。
予約チャネルのデジタル化も進める。19年度の同社おせちの申し込み別売り上げシェア最多は「店頭」(49%)。「EC」は30%だった。これに対し、22年度はEC(47%)が店頭(35%)を逆転。コロナ禍でECが主戦場になっており「ECでどれだけ売るかが重要になる」(同社担当者)。今年は動画広告の強化などで、ECでの申し込み比率50%を目指す。
関連記事
- ローソンストア100の「100円おせち」は、なぜ真似されないのか
ローソンストア100の「100円おせち」をご存じだろうか。価格は、1個100円。同社の人気商品になっているわけだが、なぜ他社は真似しないのだろうか。真似たくても真似できない事情があるようで……。 - 食品ロス削減につながるおせち!? コンビニ大手「もったいない」精神から生まれた商品の数々
食品ロス削減に対する関心が高まっている。コンビニ大手各社では、「もったいない」精神を感じさせる商品開発を進めている。どんな開発ストーリーがあるのか。 - 好きな「おせち料理」 3位「数の子」、2位「黒豆」、1位は?
保険マンモス(東京都港区)は男女500人を対象に、おせち料理と2023年のお正月休みの過ごし方に関するアンケート調査を実施した。好きなおせち料理の種類を尋ねたところ、1位は「栗きんとん」(266人)だった。 - 大丸松坂屋が「食のサブスク」に参入 月額6500円から、デパ地下クオリティーの冷凍食品を毎月宅配
大丸松坂屋百貨店が「食のサブスク」に参入する。月額6500円から、毎月「デパ地下クオリティー」の冷凍食品を宅配するという。 - 「大丸京都店」8階レストランフロアを49年ぶり全面改装 ミシュラン掲載店など8店舗
大丸松坂屋百貨店は、大丸京都店で全面改装中の8階レストランフロアを9月29日にオープンする。8階フロアの全面改装は、1974年11月のレストランフロアオープン以来、49年ぶり。さまざまなジャンルの注目店をそろえる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.