マネジャーが育たない! 「プロ野球型」日本企業の根深い問題:人的資本経営とCHROの役割(2)(1/2 ページ)
なぜ日本でマネジメント人材が育たないのか。マネジャー登用システムの「プロ野球型」「プロサッカー型」とは? 日本のマネジメント育成に関する問題点と解決策について解説する。
人的資本経営の必要性が増す中、CHRO(最高人事責任者)のポジションを設置する企業が増えています。本連載では、どのようにして人的資本経営を実現していくのか、そしてその中におけるCHROの役割について解説します。
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人的資本経営を実現するためには、採用後の育成や既存社員のモチベーションを高め、エンゲージメントを向上させていくことが重要です。そのため、タレントマネジメントに注力する企業も増えてきました。
その際、マネジャーは重要な役割を担っていますが、日本ではマネジメント人材が不足しているのが現状です。
なぜ日本でマネジメント人材が育たないのか、その問題点と解決策についてお伝えします。
マネジャーが育たない 「プロ野球型」の根深い問題とは
日本でマネジャー人材が育たない理由として、マネジャー登用システムが「プロ野球型」になっていることが挙げられます。
プロ野球では現役時代に活躍した選手が、監督やコーチとして抜擢されるケースが多くあります。同じように、日本企業ではプレーヤーとして活躍した人の次のステップとしてマネジャーのポジションが用意されていることが一般的です。
しかし「名選手、名監督にあらず」という言葉があるように、スーパープレーヤーがマネジャーとして適性があるかというと、そうとは限りません。プレーヤーとしてのスキルとマネジャーとして求められるスキルは別物だからです。
本来、マネジメントはメンバーの状況を把握し、能力を最大限に生かせるように対応する専門的なスキルを要します。どんなにスーパープレーヤーとして活躍していた人でも、マネジャーになる場合はゼロから学び直す必要があるのです。
プロサッカーの世界では現役時代に良い成績を残したかどうかは関係なく、指導者になるためにはライセンスが必要です。日本企業でも適性のある人材がプロとしてマネジャーの役割を担えるよう、専門スキルを学べる環境を作っていくことが重要でしょう。
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