「品川駅」改良の全体像が見えてきた 交通結節点としてどうなる?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
京急電鉄とJR東日本が連名で品川駅周辺の開発計画を発表した。京急電鉄の地平プラットホーム化で生まれる上部空間にビルや低層デッキができる。これで品川駅周辺のまちづくりプランがそろった。そして品川駅は今後、リニア中央新幹線、東京メトロ南北線分岐線と、交通結節点としてもさらに便利になる。
交通結節点としての品川駅
品川駅は日本の鉄道駅としては最も古い。なにしろ1872年(明治5年)の日本の鉄道開業に先駆けて、新橋〜品川間で仮開業していたからだ。それから151年経って、現在も東海道本線にとっては主要駅のひとつだ。品川駅から乗り換えなしで行ける範囲は広い。
高速バスは千葉県、山梨県、静岡県へ発着している。かつては京急バスなどが鳥取方面、京都方面、盛岡・宮古方面、弘前方面、徳島方面ほか各地へ運行していた。しかし品川駅の北側にあった高速バス品川ターミナルが高輪ゲートウェイ関連の再開発によって営業終了し、品川駅の南西側、プリンスホテル付近に移転した。また、ほぼ同時期にコロナ禍となったため、新バスターミナル使用路線は全便運休している。運行を継続している千葉、富士山方面のバスは港南口のバスのりばを使っている。
国土交通省が事業主体となる品川駅西口開発計画によると、品川プリンスホテルがある高輪4丁目区画に、新しいバスターミナルを設置する予定になっている。タクシーや次世代モビリティの「デポ」と連携する施設となる。次世代モビリティはひとり用の歩行支援電動車両や超小型電気自動車で、「デポ」はモビリティを施設ごとに分散配置する乗降場だ。
品川バスターミナルはもともと駅から離れて不便な場所であり、バスタ新宿など新しい長距離バスターミナルの開業で人気がなかった。新バスターミナル完成後は高速バスが戻ってくるかもしれない。
黄色枠が西口再開発エリア。グランドプリンスホテル高輪のある北側は23年6月1日付けで国土交通大臣より土地区画整理事業計画認可を受けた。南側はまだ確定していない(出典:国土交通省、未来の品川駅前空間(西口)計画)
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