新学期なのに給食がない⁉ 給食事業者、中小は約2割が赤字:東京商工リサーチ調べ(2/2 ページ)
東京商工リサーチの調査によると、給食事業者はコロナ禍の支援で赤字企業数は減少した。一方、物価高騰や採用難などで経営環境は厳しさを増しているという。
売上高の増減収別でみると?
売上高の増減収別でみると、大企業では増収企業が75.0%だったが、中小企業は44.4%と半数を下回った。また、中小企業は減収企業が31.2%、横ばいは24.2%と、コロナ禍の行動制限解除後も人手不足や物価高への対応が難しく、業績に差がついた。21年度はコロナ関連支援策の効果やスケールメリットが寄与し、大企業は91.6%が増収だった。しかし、中小企業で増収は42.8%にとどまり、効果は限定的だったことがうかがえる。
コスト負担に耐えられない中小企業
アフターコロナに向けた行動制限の緩和などで、学校や事業所、高齢者福祉施設などで給食需要が高まっている。また、年齢やアレルギー対応など提供する内容も多様化・細分化もしているという。
一方で、食材や人件費、エネルギー価格の高騰が事業者に重くのしかかっている。給食は自治体などの入札が多く、原材料価格やエネルギー価格の高騰などの価格転嫁が難しい。そのため、資金力に乏しい中小企業はコスト負担に耐えられず、業績悪化から廃業や倒産が懸念される。
東京商工リサーチは「自治体の入札制度の見直しや、緊急事態を認識した弾力的な支援のために、状況の把握と委託側との緊密な連絡が必要となるだろう。自治体も責任転嫁せず、利用者への利便性を考えて官民を挙げて取り組むことが必要だ」と指摘する。
調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約390万社)から、主業種が「施設給食業」「給食センター」「病院給食業」を抽出し、「給食事業者」と定義。22年4月〜23年3月期決算(22年度)を最新期とした。
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