トヨタはセーフで日産はアウト! 「ジャニーズリスク」と大企業はどう向き合うか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
契約を打ち切ったら「いじめ」と叩かれて、継続をしたらしたで「人権意識がヤバい」と叩かれる――。ジャニーズの問題で、頭を抱えている企業の担当者も多いはず。いわゆる“ジャニーズリスク”と企業はどう向き合えばいいのか。
「日産」の対応に注目
では、今後このジャニーズリスクはどう扱われていくのか。いろいろな見立てはあるだろうが、個人的には「日産」の対応が一つのポイントになっていくのではないかと考えている。
ご存じのように、同社は木村拓哉さんをCMキャラクターとして起用している。本日のTBSの報道によると、今後、ジャニーズ所属のタレントと新規契約は結ばないとした一方で、木村さんのCMは継続して、契約満了した時点でまたあらためて判断するという。
この「判断」の内容によって、大企業の「ジャニーズ外し」の流れが一気に加速していく恐れがある。
なぜそう思うのかというと、香川照之さんの性加害のとき、トヨタ自動車がまさしくそのような役割を果たしていたからだ。
香川照之さんが銀座の高級クラブでホステスの頭をわしづかみにしたり、胸を触ったりという性加害をしたと『週刊新潮』が報じた際、テレビ局各社は「お咎めなし」にする気マンマンだった。
司会を務めるTBSの情報番組で、香川さんが殊勝な顔で「反省しています」と頭を下げる謝罪タイムをもうけて一件落着するはずだった。誰かが明言したわけではないが、ドラマもCMも放映継続ということで関係各位の「暗黙の了解」も取れていた。
しかし、そんな空気をガラリと変えた企業があった。トヨタだ。当時、香川さんは「トヨタイムズの編集長」としてテレビCMなどにバンバン出まくっていた。まさしく同社の「顔」だったのである。しかし、『週刊新潮』の続報で、香川さんが実際に女性の髪をわしづかみにして鬼のような形相をしている写真が掲載されたことで、同社が「広告の打ち切り」を判断した。
トヨタがNGにしたタレントを、他の企業が起用できるわけがない。トヨタのテレビCMで大金を得ている民放キー局も同じだ。かくして「高級クラブってのは、こうやって有名人がはっちゃけるところなんだから、被害を訴える女のほうがプロ意識がないよな」という空気はガラリと変わり、香川さんはテレビから消えてしまったというワケだ。
つまり、トヨタのような大企業が「これはアウトだよな」とジャッジすると、他の大企業、テレビ局も「ですよねえ、私らもそう思っていました」という感じで迎合していく。ということが、日本の企業危機管理の世界ではよくあるのだ。
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