トヨタはセーフで日産はアウト! 「ジャニーズリスク」と大企業はどう向き合うか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
契約を打ち切ったら「いじめ」と叩かれて、継続をしたらしたで「人権意識がヤバい」と叩かれる――。ジャニーズの問題で、頭を抱えている企業の担当者も多いはず。いわゆる“ジャニーズリスク”と企業はどう向き合えばいいのか。
ジャニーズリスク、トヨタは関係なし
ただ、今回のジャニーズリスクは、トヨタは一切関係ない。香川さんで懲りたからか、あの騒動以降、「トヨタイムズ」はテレビ朝日の元アナウンサーで、現在トヨタ社員の富川悠太さんをメインにして、ジャニーズはおろかタレントを起用していないのだ。
そういう意味では今、大企業各社が頭を悩ませているジャニーズリスクについて、トヨタは被害ゼロだ。もし今後新たな問題が噴出して、ジャニーズ事務所が再炎上した際にも同社の広告戦略的には痛くもかゆくもない。
では、今回はそんなトヨタと代わって、どこの大企業が空気を変えるだけのベンチマークになるのか。もうお分かりだろう、同じ自動車業界の世界的プレイヤー、日産しかあるまい。
『東洋経済オンライン』の『「広告宣伝費」が多いトップ300社ランキング』(22年2月6日)によれば、日産はソニーグループに次いで第2位、2020年9月期から21年8月期までの1年間に2325億円を広告宣伝費に費やしている。
しかも、木村拓哉さんの「やっちゃえ日産」のCMは好感度も高く、新型EV「アリア」に木村さんが乗車しているCMは、20年9月度のCM好感度ランキング総合1位(CM総合研究所)にも輝いている。
つまり、日産の木村さん起用の広告は「量」と「質」の両面で、ジャニーズ広告の最高峰のようなものなのだ。しかし、日産はこれを現時点で「継続」して、契約満了した時点であらためて判断するというが、ここで「継続しません」となれば、他企業の広告担当者たちの判断にも大きな影響を及ぼすだろう。
「あのキムタクのCMでさえ中止になったんだから、わが社も止めるべきだろう」という議論が起きる。日産は何かしらやばい「不祥事」を察知したのでは、というような流言飛語も飛び交うだろう。
逆に、日産のキムタクCMが継続されていれば、「アレが流れている限りはウチも大丈夫だろ。テレビでもジャニーズが朝から晩まで出てるしな」という感じで、「タレントには問題なし」という空気がつくられていくかもしれない。
つまり、日産が木村さんとの契約が満了となってあのCMが終了すると、「ジャニーズ外し」を選択する大企業がさらに増えてしまう可能性もあるのだ。
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