トヨタはセーフで日産はアウト! 「ジャニーズリスク」と大企業はどう向き合うか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
契約を打ち切ったら「いじめ」と叩かれて、継続をしたらしたで「人権意識がヤバい」と叩かれる――。ジャニーズの問題で、頭を抱えている企業の担当者も多いはず。いわゆる“ジャニーズリスク”と企業はどう向き合えばいいのか。
CMを継続することはリスク
それも企業防衛的にはしょうがない。しかし、日産の「契約満了まではCMを継続する」というのんびりとした対応は、危機管理的にかなりまずいのではないかと個人的には思っている。
理由は3つある。1つめは、先ほども申し上げたように、新生ジャニーズ事務所は炎上する可能性が高い。被害者の会が指摘しているように、東山新社長らの「うわさレベル」発言が虚偽であった場合、この組織はこの期に及んで事実を隠ぺいしていたことになる。
ということは、新たな問題が発覚する。例えば、ジャニー喜多川氏が少年に性加害をしていることを把握しながら、未成年者を彼の合宿所に送り込んだ先輩タレントがいた、というような「告発」がなされるかもしれない。
ハラスメントやいじめの「被害者」だった者が、組織の中で生きていくために今度は「加害者」側にまわる、というのは学校や企業でもよく見られる普遍的な現象だ。「得体の知れない空気」に支配されていたというジャニーズ事務所でも、十分にあり得る。
そうなると今、CM切るべき派の企業を批判する際に使われている「所属タレントは被害者」というロジックにほころびが出てしまう。
2つめは、木村さんは所属タレントのポジションを超えた「組織幹部」という位置付けだ。東山新社長は会見の前に、井ノ原快彦さん、国分太一さん、そして木村拓哉さんらと会食をし、そこで社長になるという話をして「同意」をしてもらったと明かした。
この役割は、もはや取締役か相談役に近い。もしこれから東山体制で大きな問題が発覚した際に、「私はタレントなので何も知りません」とは言えないほど、組織の意思決定に絡んでしまっている。これは「木村拓哉」というタレントの商品価値だけ欲しい企業としてはかなり悩ましい。
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