トヨタはセーフで日産はアウト! 「ジャニーズリスク」と大企業はどう向き合うか:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
契約を打ち切ったら「いじめ」と叩かれて、継続をしたらしたで「人権意識がヤバい」と叩かれる――。ジャニーズの問題で、頭を抱えている企業の担当者も多いはず。いわゆる“ジャニーズリスク”と企業はどう向き合えばいいのか。
「Show must go on!」と投稿
そして、3つめの理由が木村さんの「失言リスク」だ。
実は今回の会見があった夜に、木村さんはInstagramを更新している。そこでは、自撮り画像とともに「Show must go on!(何があってもショーを続けなくてはいけない)」と投稿していた。実はこれは、ジャニー喜多川氏が所属タレントたちに向けてよく言っていたという「名言」だ。
東山新社長が「人類史上最も愚かな犯罪」と断罪した人の言葉を、なぜこのタイミングでコメントしたのか。戸惑う人や批判をする人がかなりいた。
その後、この投稿は削除され、あいも変わらずテレビはスルーしたので、特に大きな問題にはなっていないが、今後この問題が過熱をすればするほど、木村さんの個人の言動にも注目が集まる。そこで、何かしら炎上すれば、日産も無傷ではすまない。
しかも、もっと言ってしまうと、今の「やっちゃえ日産」というキャッチコピーも、ジャニー喜多川氏の口癖として多くの所属タレントがマネをしていた「ユー、やっちゃいなよ」と似ているのでリスキーだ。こじつけだと思うだろうが、ゴーン元会長が逮捕された際に、「やっちまったな日産」などとイジられている。ジャニーズ事務所の「幹部」である木村さんが炎上したときには、間違いなくネタにされるだろう。
このような話をしても「木村さんが炎上するわけがない」と思われる人もいるかもしれないが、過去にはそういうこともあった。ファンからすれば常識だが、木村さんは日産の前、長くトヨタのテレビCMに起用され、イメージキャラクターを務めていた。「カローラ」のCMなど覚えているだろう。
だが、そんな契約中の11年と12年に、2度のスピード違反で免許停止処分になる。しかもそれを事務所に報告していなかったことが発覚してしまう。クルマの安全運転を訴求するトヨタとしては、契約打ち切りもやむを得ない不祥事だが、そこは天下のキムタクだ。批判を受けながらもトヨタは契約を継続した。
しかし、今度は17年に、都内を運転中に計3台がからむ玉突き事故を起こしてしまう。ネット上では「免停処分を受けたのに、起用を続けるトヨタはいかがなものか」と批判を浴びたのである。広告起用したジャニーズの不祥事に巻き込まれて、「ジャニーズをかばった」という事実が黒歴史として残って批判材料になってしまったのである。
ジャニーズ事務所の「闇」が次々と明らかになっている今、もし木村さん個人が炎上したら、好感度ナンバーワンCMを流し続けている日産への批判は、さらに厳しくなるというのは容易に想像できよう。
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