生成AIの”真のポテンシャル”とは 新興Spiral.AIが目指す「業務改善」以外の使い方:生成AIスタートアップの挑戦(3/3 ページ)
新連載「生成AIスタートアップの挑戦」第2回は、大規模言語モデル(LLM)開発に取り組むSpiral.AIを紹介する。
Q. 生成AIがもたらすリスクへの対処は
個人情報保護法関連については、当社サービスの運用・開発においては、個人情報に対するマスクを行った上で、ISMSなどの国際・業界基準に沿った情報管理を行っています。
また、著作権法関係は、関連法規に則った対応をしています。ただ、日本の法律は国際的にみても、AI学習・開発関係については、相対的に緩い制限に意図的に策定されていて、AI学習に対してフレンドリーな設計になっています。そもそもAI学習で現状、著作権法に障ることはほとんどないものの、個別ケースに慎重に著作権に抵触しないように開発を進めています。取り組む事業に関しても、著作権・肖像権を保有する事業者の公式の許諾を取得したうえで事業・プロダクト開発にフォーカスしています。
Q. 生成AIに今後どんなビジネスチャンスがあると考えるか
現状はまだ、ビジネスの現場において、一部の業務の効率改善という局所的なニーズだけで盛り上がっている状況で、本来、生成系AI技術が持つポテンシャルからすると、アドレスできていない、顕在化・非顕在化しているニーズは莫大にあると考えています。
そうしたニーズにアドレスをするうえで、いかに生成系AIを、あらゆる人が利用しやすい・とっつきやすい、ユーザーフレンドリーなUI/UXに仕立てていくかが非常に肝要と考えています。その観点に合ったソリューション・サービスの開発・展開には、大変大きなビジネスチャンスがあると考えています。
特に、相対的に他の先進国・新興国と比べて、DX化の遅れが叫ばれる日本においては、このいわば「生成系AIの民主化」をどこまで突き詰められるかによって、導入の深度および、それによってもたらされるビジネスインパクトが大きく変わってくると思います。その点に根差したサービスの探索を今後も進めていきたいと考えています。
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