生成AIの”真のポテンシャル”とは 新興Spiral.AIが目指す「業務改善」以外の使い方:生成AIスタートアップの挑戦(2/3 ページ)
新連載「生成AIスタートアップの挑戦」第2回は、大規模言語モデル(LLM)開発に取り組むSpiral.AIを紹介する。
Q. 顧客はどんな恩恵を受けられるのか
当社として、現在のLLMや生成系AIの利活用は、企業向けの業務改善というユースケースに事業者が集中している印象を持っています。利活用をしていて「楽しさ」を感じたり、一般ユーザーが仕事の現場を離れて、日常生活の中で使えたりするアプリケーション・サービスがほとんどないことが、中長期で生成系AIの浸透の障壁になってくるであろうと考えています。
そのため、当社が開発に注力する、個性・キャラクター性を有したコミュニケーションが可能なAIツールは、そうした部分を補完できることを意図して事業企画を行っています。対話をしていて楽しい・ワクワクするコミュニケーション体験であったり、テキスト入力だけに縛られないテキスト・音声・画像を織り交ぜた高度なコミュニケーションの実現を目指しています。
そしてユーザーの対話履歴・特性を記憶し、それらを踏まえた応答をする仕組みなど、既存のLLM関連サービスにはない要素でユーザーに価値を提供できればと思っています。 そうした、温かみのあるコミュニケーションへのニーズは、各種商談やユーザーヒアリングからも強く感じています。
こうした価値提供を通じて、LLM技術がユーザーの身近なところに定着し、先端技術の恩恵を感じた豊かな生活を送れる支援を、微力ながらも取り組めたらと考えています。
Q. 自社のサービスの強みは
技術面とビジネス・体制面それぞれで強みがあると自負しています。
技術面に関しては、現在注力している個性・キャラクター性を有したコミュニケーションが可能なAIに関して、独自のLLM開発にも取り組んでいます。AIに個性を付与するうえでの各種技術ノウハウがかなり蓄積されており、積極的に特許申請にも取り組んでいます。この領域に関しては技術面だけでみても、一般ユーザーがサービスに触れれば、クオリティの差を感じてもらえるレベルで差別化を図ることが、今後十分に可能だと思っています。
ビジネス・体制面については、代表で創業者の佐々木雄一は、前職で上場AI企業であるニューラルグループにおいて、創業メンバーとして草創期から技術の責任者(CTO)として関与し、上場を経験をしています。当社が主戦場としているLLMとは異なり、画像解析の領域でしたが、単純な技術開発だけではなく、それを実際の商用プロダクトに落とし込み、中央省庁に納入ができるレベルの運用実績を有する製品にまで仕上げるという、一部泥臭い社会実装・運用検証を抱負に経験しています。
佐々木以外にも同様な経験を積んだメンバーが、まだ創業初期の現在のタイミングから集結しています。そうした経験のもとで、単に技術的に優れているだけではなく、実際の運用現場で「使える」プロダクトへの落とし込みの経験値・ノウハウの部分で、現在数多存在するLLM関連の企業と比べても差別化ができると考えています。
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