生成AIの”真のポテンシャル”とは 新興Spiral.AIが目指す「業務改善」以外の使い方:生成AIスタートアップの挑戦(1/3 ページ)
新連載「生成AIスタートアップの挑戦」第2回は、大規模言語モデル(LLM)開発に取り組むSpiral.AIを紹介する。
連載:生成AIスタートアップの挑戦
ChatGPTをはじめとする生成AIに注目が集まる中、多くのスタートアップ企業が生成AIビジネスに参入している。新興企業は新たな技術を武器に、既存のビジネスをどう変革していくのか――。
これまでの掲載
今後の掲載予定
Spiral.AI(本記事)、オルツ、AI inside、ABEJA、リーガルスケープ、リーガルアイ
※順不同、今後も追加予定
生成AIビジネスに参入した新興企業を紹介する新連載「生成AIスタートアップの挑戦」第2回は、大規模言語モデル(LLM)開発に取り組むSpiral.AI(スパイラルAI、東京都文京区)を取り上げる。同社は2023年3月に創業。LLMに特化した数少ないスタートアップとして注目を集めている。
現状の生成AIのユースケースは「業務の効率改善という局所的なニーズ」にとどまり、実際はまだ顕在化していない多様なニーズが「莫大(ばくだい)にある」とする同社。生成AIが秘めるポテンシャルをどう見ているのか――。回答者は同社ビジネス統括ディレクターの周涵(しゅう・かん)氏。
社名 | サービス概要 | 顧客が受ける恩恵 | サービスの強み | リスク対処 | ビジネスチャンス |
---|---|---|---|---|---|
エクサウィザーズ | 株主総会の想定問答作成を支援 | IR業務を効率化 | 大企業のニーズを把握、エンジニアも多い | 生成AIの処理は国内で実施 | コスト削減の余地が大きい業務に拡大できる |
Spiral.AI | 個性を有した会話が可能なAIコミュニケーションツールを開発 | 対話していて楽しいコミュニケーション体験 | AIに個性を付与する各種技術ノウハウ | ISMSなどの国際・業界基準に沿った情報管理 | ユーザーフレンドリーなUI/UXに仕立てていくかが非常に肝要 |
各社の回答(要約) |
Q. 生成AIを活用したどんなサービスを展開しているのか
大規模言語モデル(LLM)を中心とした生成系AI技術を専業とする企業として、その中でも特に、生成系AI技術を用いた、個性・キャラクター性を有したコミュニケーションが可能なAIツールの開発を主に行っています。
特に現在、エンターテインメント領域において、著名人やIPキャラクターとの対話を可能にするコミュニケーションプロダクトを展開しています。また、エンタープライズ向けに、顧客などの外部とのコミュニケーションにおいて、LLMの特性を生かしたAIチャットボットおよびコールセンターのオペレーション支援ツールを提供しています。その他クライアント企業のニーズにあわせたLLMソフトウェアの開発・提供も展開しています。
現状、各種企業から一般消費者に至るまで、生成系AI関連サービスに対する旺盛なニーズを感じています。創業初期に比べると売り上げはこの数カ月で数倍に拡大しており、採用強化による人員体制の増強が急務となっています。
また、当社の技術やプロダクト、チーム体制への期待を頂戴して、9月中旬にシードラウンドの調達を発表しました。生成系AI関係ではシードラウンドにおいて日本最大規模の調達額となり、調達した資金から積極投資も行い、現状の手応えをより力強い成長へ転換すべく、事業推進をしていきたいと思っています。
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