首都圏「住みたい街」2強 絶対王者「横浜」にあって「吉祥寺」にないもの:6年連続で首位(2/2 ページ)
リクルートが発表した「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」では、6年連続で横浜市が総合1位を獲得した。なぜ横浜は、高い人気を集めているのだろうか。住まいと街の関係に詳しい、東京情報堂の代表を務める中川寛子氏に話を聞いた。
横浜が支持される理由
横浜が支持される大きな理由の1つとして、中川氏は「要素の多さ」を挙げる。前述の通り、横浜は「働く」「遊ぶ」「買い物する」の3要素を全て持ち合わせた街だ。加えて、赤レンガ倉庫、みなとみらい、中華街など人々がイメージしやすいスポットが数多く存在する。
同じように住みたい街ランキング上位の常連に「吉祥寺」(東京都武蔵野市)がある。JR中央線の快速停車駅や京王井の頭線の始発駅として知られ、人気のエリアだ。吉祥寺と聞くと、駅周辺の「吉祥寺サンロード商店街」や「井の頭恩賜公園」をイメージする人が多いのではないか。いずれも駅から徒歩圏内だが、街の名前からイメージする範囲に大きな差があるように思える。
中川氏は「そもそも住みたい街ランキングは人気投票のようなもの」と指摘する。その駅に実際に降りたことや住んだことがなくても、テレビ番組やニュースなどで目にした良いイメージがあれば「住んでみたい」と選ばれる傾向にあるという。イメージされる要素が多い街はおのずと人気になりやすく、その筆頭が横浜というわけだ。
映える街・横浜が生まれた背景
加えてこうしたイメージを強化する武器を、横浜は持っている。映える街、つまり景観の良さだ。中川氏によれば、これは偶然の産物ではなく、50年にわたる都市デザインの賜物だという。
例えば89年に開通した横浜ベイブリッジは、港湾物流の向上という機能性だけでなく、横浜の景観に合ったデザインを採用。関内の中心にある「日本大通り」も、絵になることが前提で再整備された。
こうして作り上げられた絵になる横浜らしい景観は、映画やドラマの撮影場所としてのニーズも獲得。横浜で撮影された作品を見た人々のイメージ向上に一役買う、というサイクルができている。
横浜を住みたい街の“絶対王者”たらしめている背景には、早くから都市デザインに着目した先見の明と、それを緻密に実現してきた実行力があるといえそうだ。
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