2週間で2億8000万時間 『ONE PIECE』の世界展開を成功させたNetflixの凄さ(1/2 ページ)
Netflixが8月31日に公開した実写版『ONE PIECE』。公開以降、2週間で2億8000万時間を超える視聴時間を記録している。世界展開を成功させたNetflixの凄さとは。
この記事は、Yahoo!ニュース個人に9月17日に掲載された「2週間で2億8千万時間。『ONE PIECE』の世界展開を成功させたNetflixの凄さ」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
筆者プロフィール:
徳力基彦(とくりき・もとひこ)
noteプロデューサー/ブロガー
新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログとSNSのおかげで人生が救われる。その際の経験を元に、書籍「普通の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)を出版。noteやSNSを活用したビジネスパーソンのキャリア構築や、企業の広報やマーケティングのサポートを行っている。
Twitter:@tokuriki、公式サイト:徳力基彦(tokuriki)
Netflixが8月31日に公開した実写版『ONE PIECE』ですが、早速シーズン2の制作決定が発表され、話題になっています。続編制作決定は、原作者の尾田栄一郎さんが、実写版の「電伝虫」を通じて話す動画の中で伝える、という『ONE PIECE』ならではのスタイルで発表されました。
(参考記事:Netflixドラマシリーズ『ONE PIECE』続編制作決定 尾田栄一郎氏がチョッパーに言及「優秀な“船医”が必要」)
実際のドラマシリーズを視聴した人からすれば、実写版『ONE PIECE』のシーズン1が、続編の存在を感じさせるエンディングになっていたこともあり、シーズン2制作は当然という印象もあると思います。
ただ、実はNetflixは過去に実写版『カウボーイビバップ』を1シーズンで打ち切ったことがあるため、今回の発表に安心している人は少なくないはずです。早速Netflixとしての公式の継続予告動画もアップされており、世界中のファンが楽しんでいる様子を見ることができます。
今回の実写版『ONE PIECE』は、これまで失敗する可能性が高いというイメージが強かった日本のマンガの実写化の常識を大きく変えたのは間違いありません。
ただ、ここでもう一つ注目していただきたいのは、そのインパクトの大きさです。特に注目していただきたいのは、実写版『ONE PIECE』のNetflixにおける視聴時間が、すでに2週間足らずでなんと2億8000万時間を超えているという点です。
日本と世界でNetflixの位置づけは大きく違う
日本ではまだNetflixの会員数がそれほど多くないため、実写版『ONE PIECE』の話題はそれほど大きくなっていないという印象を持っている方も少なくないと思います。
そもそも、日本におけるNetflixの会員数は2020年の段階で500万人を突破したと発表されて以降開示されていませんが、おそらく1000万人まではまだ届いていないといわれています。
日本の人口が1億2000万を超えており、世帯数も5000万世帯近いことを考えると、Netflixを視聴できる世帯はまだ多く見積もっても2割ぐらいと考えられるわけです。日本のテレビの世帯普及率が93%といわれていることを考えると、まだまだ日本の多くの人はNetflixが見られないのが普通という状態といえます。
一方で、世界におけるNetflixの会員数は、2億3000万人を超えています。特に、米国におけるNetflixの世帯普及率は50%を超えているといわれますから、日本での感覚とは全く位置づけが異なるプラットフォームといえるでしょう。
そんなNetflixの中で、実写版『ONE PIECE』が世界各国のランキングで1位になっているのは間違いなく凄いことです。
(参考記事:大絶賛の世界1位スタート。実写版「ワンピース」が日本のマンガの世界への扉を開く)
ただ、Netflixのドラマシリーズは、映画のような興行収入の金額も出ませんし、日本からだとその凄さがピンとこないという方も多いはずです。そこで、是非注目していただきたいのが、前述した2億8000万時間という視聴時間です。
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