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「シン・ナウシカ」「実写版 トトロ」! ジブリ子会社化でありうるか:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
あのスタジオジブリが日本テレビの完全子会社になる。「これでジブリはアニメ制作に専念できる」といった声が出ているが、本当にそうなのか。企業買収の世界は……。
テーマパークの運営であれば
その可能性はかなり高いと考えている。これからの日本は毎年、鳥取県の人口と同じ数だけ日本人が減る「縮みゆく国」だ。半導体や電気自動車という「ものづくり」も、他国にお株を奪われている。かといって、優秀な外国人を迎え入れる「移民政策」もできない。
となると、残るのは「日本のコンテンツを生かして外国人にカネを落としてもらう」という稼ぎ方しかない。つまり、フランスやタイのような「観光大国」と同じくインバウンドを基幹産業にしていくのだ。
そういう未来が見えたので、フジテレビはお台場に「カジノ」を誘致しようと躍起になっていた。Netflixなどの「黒船」が続々と上陸する中で、放送・映像配信だけでメシが食えるわけがないからだ。
この状況は日テレも変わらない。生き残っていくために「ジブリ」という世界に通用するコンテンツをフル活用して、骨までしゃぶっていくのは巨大企業グループの戦略として当然だ。では、どうやってジブリコンテンツの価値を最大化していくのか。
本来はディズニー、マーベル、ピクサーのようにIP(知的財産権)ビジネスを世界に展開するのが理想だが、日本企業、しかも規制ビジネスをしてきたテレビ局には難易度が高い。しかし「日本国内でのテーマパーク運営」ならば、テレビ局でもできそうだ。国内でも数多のノウハウがあるのでそれらを活用すればいい。
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