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「シン・ナウシカ」「実写版 トトロ」! ジブリ子会社化でありうるか:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
あのスタジオジブリが日本テレビの完全子会社になる。「これでジブリはアニメ制作に専念できる」といった声が出ているが、本当にそうなのか。企業買収の世界は……。
吉と出るか凶と出るか
このようにジブリの日テレ子会社化は長い目で見ると、これまで宮崎駿氏らがつくり上げてきた「アニメ製作者集団」というカルチャーを破壊する可能性が高い。多くのジブリファンを失望させて、ブランド価値を低下する恐れもある。
しかし、一方で新たなコンテンツ、新たなテーマパーク事業という可能性も広がった。これが吉と出るか凶と出るかはまだ誰にも分からない。
ただひとつだけ断言できるのは、「日テレ傘下になったことで安心していい作品がつくれるようになった」という単純な話ではないことだ。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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