『VIVANT』の成功で考える、日本のテレビドラマが勝ち残る道(1/4 ページ)
TBSのテレビドラマ『VIVANT』が、放送終了後、1週間がすぎた現在も注目され続けている。同作品のヒットからはSNSでの情報発信など地上波のテレビドラマならではの勝ち筋を学ぶことができる。
この記事は、Yahoo!ニュース個人に9月27日に掲載された「『VIVANT』の成功で考える、日本のテレビドラマが勝ち残る道」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
筆者プロフィール:
徳力基彦(とくりき・もとひこ)
noteプロデューサー/ブロガー
新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログとSNSのおかげで人生が救われる。その際の経験を元に、書籍「普通の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)を出版。noteやSNSを活用したビジネスパーソンのキャリア構築や、企業の広報やマーケティングのサポートを行っている。
Twitter:@tokuriki、公式サイト:徳力基彦(tokuriki)
9月17日に最終話が放送されたTBSのテレビドラマ『VIVANT』ですが、放送終了後、一週間がすぎた現在も、さまざまな話題がメディアで注目されています。
なにしろ、最終話の翌週の9月24日の夜にも「#VIVANTep11」というSNS上のハッシュタグが日本でトレンド入りするという不思議な現象が起きたほど。いかに多くの人たちが毎週日曜日の夜の『VIVANT』の放送を楽しみにしていたかが分かる現象といえます。
(参考記事:『VIVANT』最終話翌週、「第11話」トレンド入りの怪 「幻覚が見えてるファンが多すぎる」「すごいドラマだった証拠」)
ここで注目したいのは、『VIVANT』の成功が今後の日本のテレビドラマに与える影響です。
第1回から最終回にかけて尻上がりに視聴率も上昇
『VIVANT』はその放映が始まる前から、豪華なキャスト陣やモンゴルロケをはじめとする最近の日本のテレビドラマとは一線を画す、1話1億円を超えるとも言われる大きな制作費投資が注目されました。
ただ、第1話の頃は世帯視聴率は11.5%とそれほど伸びず、一部メディアでは失敗という報道が早々にされるほどでした。
実は、ここ数年、TVerなどのタイムシフト環境が整ってきたことを考えれば、リアルタイム視聴率の低迷自体は当然ですし、実は個人視聴率でみると、他のテレビドラマに比べて高い視聴率を叩き出していたのですが、ある意味日本のテレビドラマの代表として批判されていたといえるかもしれません。
しかし『VIVANT』は、そうした批判を弾き飛ばすように、回を経る毎に視聴率を尻上がりにあげ、最終回の世帯視聴率は第1話から2倍近い19.6%まで上げるという軌跡を辿ることになります。
(参考記事:『VIVANT』最終回視聴率は19.6% 11.5%だった第1話から大躍進)
ここに、『VIVANT』が確立した、日本の地上波のテレビドラマならではの勝ち筋を学ぶことができます。
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