『VIVANT』の成功で考える、日本のテレビドラマが勝ち残る道(3/4 ページ)
TBSのテレビドラマ『VIVANT』が、放送終了後、1週間がすぎた現在も注目され続けている。同作品のヒットからはSNSでの情報発信など地上波のテレビドラマならではの勝ち筋を学ぶことができる。
制作費では海外には追いつけない現状
今回、『VIVANT』の制作費は、通常の日本のテレビドラマが1話3000万円程度が相場と言われている中、1億円を超える制作費を投じて大きな話題になりました。
ただ、NetflixやHBO、Amazonプライムなどの海外の動画配信サービスのドラマ制作費は既に映画を超える数十億円規模の戦いに突入しており、制作費の戦いでは現状は日本のテレビ局に勝ち目はないと考える人は少なくありません。
例えば、Netflixは実写版『ONE PIECE』に1話26億円を超える予算を投下したともいわれています。『VIVANT』の1億円すら少なく見えてしまう規模の予算が動いているわけです。
(参考記事:2週間で2億8千万時間。「ONE PIECE」の世界展開を成功させたNetflixの凄さ)
これはNetflixが世界に2億3千万人を超える有料契約の会員を持ち、2週間で実写版『ONE PIECE』を2億8千万時間も視聴させるほどの力があるからこそ、できる投資ともいえます。
今回TBSが『VIVANT』に従来の3倍を超える予算を投下することができたのも、今年TBSが提携した動画配信サービスのU-NEXTに『VIVANT』を独占配信することで、U-NEXTからある程度の予算を確保したからと言う見方があります。
とはいえ、国内の会員が中心のU-NEXTが、Netflixを超える投資をサポートすることは難しいでしょう。
また、今後『VIVANT』の映画を公開することで回収するプランなども囁かれていますが、いずれにしても日本のテレビ局がテレビドラマ制作において更に一桁投資を増やすことは、現時点では現実的ではないわけです。
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