ジャニーズ事務所は本当に聞く耳を持てるか
もちろん、これらのシナリオはいずれもジャニーズ事務所の企業体質が変わらず、スポンサー企業やメディアにとって、ジャニーズ事務所の所属タレントの起用がメリットよりもデメリットの方が大きいと判断された場合の話です。
今回の会見においては、残念ながらゼロ回答に近い結果となった、ジャニーズ事務所の企業改革ですが、一つの光明と言えるのは、東山社長が今後もメディアや被害者との対話を重視し、広く意見を聴き続ける姿勢を見せたことでしょう。
また、同席した井ノ原さんの、ファンへの感謝についての熱い思いが詰まったコメントには心を動かされた方も多かったはずです。
会見での東山社長の一連の発言を見る限り、今回は国連の人権理事会による厳しい指摘や、再発防止特別チームによる想像以上の厳しい報告書の内容を受け、ジャニーズ事務所側が後手後手にまわっているという印象を強く受けます。
そのために、おそらく問題の深刻さや、被害者や社会、そしてスポンサー企業の問題意識に、ジャニーズ事務所の対応が追いついてない面があるようです。
ジャニーズ事務所の混乱が長引けば、今回の性加害の被害者だけでなく、所属タレント1人1人や、そのタレントのファンの方々も傷つくことになります。
Travis Japanのような海外を目指していたグループの活動も、当面厳しい扱いを受けることになるでしょうし、世界から見た日本のエンタメ産業全体や日本のメディアの印象が大きく悪化するリスクすらあります。
前述のアルノー氏が指摘されているように「ジャニーズの物語はすべての人に影響を与えるものであり、それは今やすべての人の責任である」とも言えます。
メディアやスポンサー企業はもちろんですが、すべての人がこの性犯罪が数十年にわたり放置されてきた背景を考えなければいけないタイミングでもあるのです。
井ノ原さんが会見で話されていたように、ファンの1人1人がどのような思いで今回の騒動を見つめているかを考えれば、現在のジャニーズ事務所がもっと迅速で本質的な対応をしなければいけないことは明白なはず。
東山社長や藤島ジュリー元社長が、本当に所属タレントの未来を一番に思うのであれば、スポンサー企業や海外メディアの批判がこれ以上大きくなる前に、真剣に被害者やファン、そして社会の声に耳を傾けていただきたいと思います。
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