この記事は、Yahoo!ニュース個人に9月1日に掲載された「ジャニーズ性加害問題 注目される「広告主」の今後の対応」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
筆者プロフィール:
徳力基彦(とくりき・もとひこ)
noteプロデューサー/ブロガー
新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログとSNSのおかげで人生が救われる。その際の経験を元に、書籍「普通の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)を出版。noteやSNSを活用したビジネスパーソンのキャリア構築や、企業の広報やマーケティングのサポートを行っている。
Twitter:@tokuriki、公式サイト:徳力基彦(tokuriki)
ジャニー喜多川氏の性加害問題に対して、再発防止特別チームの調査報告書が公開され、大きな波紋が拡がっています。
5月のジャニーズ事務所代表のジュリー氏の謝罪動画では「疑惑」と扱われていた性加害ですが、報告書では被害者が少なくとも数百人規模に上る、実際に起きた事件であることを明言。
また、ジャニー氏の性加害だけでなく、姉のメリー氏の徹底的な隠蔽(いんぺい)や、当時取締役だったジュリー氏が取締役の責任を全うしていなかったことを指摘し、ジュリー氏の辞任を提言。
さらには、この問題に対して沈黙を貫いたメディアの責任まで明言するという、非常に踏み込んだ内容になりました。
この指摘に対して、大手メディアは一斉に声明を発表。また、ジャニーズ事務所側も会見を9月7日に開くことを発表したようです。
(参考記事:ジャニーズ性加害問題 NHKと民放キー局の声明そろう マスメディアに対する指摘「重く受け止め」言葉並ぶ【各局全文】)
既に、このジャニー氏の性加害問題は、故人であるジャニー氏による過去最悪の性犯罪という側面だけでなく、日本の芸能界やメディア業界の構造問題としても世界から注目される問題になってしまっています。
ある意味、名指しで問題の一因として指摘された大手メディアが、今後どのように対応していくのかは一つの大きな注目点といえます。
ただ実は、この問題においては、注目すべき存在がもう一ついます。それがジャニーズ事務所の所属タレントに対するスポンサーとなる「広告主」です。
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