「クルマのボディサイズ」が大きくなっている、これだけの理由:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
「クルマの大きくなっているなあ」と感じる人も多いのでは。駐車場は狭いままなのに、なぜ大きくなっているのか。背景を探っていくと……。
3ナンバーのクルマが増えている背景
なぜこのようなクルマが増えてきたのかといえば、一番の目的は衝突安全性を確保するため。特に重要なのが側面衝突に対する安全性能だ。
高い衝突安全性能を実現するために、側面からの衝撃に対して強固な構造として空間を維持するためでなく、衝撃を吸収する構造と乗員を守るエアバッグが展開するだけのスペースも必要なのだ。
居住空間としても横方向のサイズは重要だ。英国車は伝統的に足元からコックピットをタイトに仕上げる傾向があるが、FF車が主流の今は乗用車の足元は広々しているのが普通で、それに見合うよう室内空間全体も広々としたものが一般的だ。
これは人間の体格が昔と比べて大きくなっていることも影響している。平均身長が伸びているということは、肩幅なども伸びており、全体的に大柄になっているからだ。ただし日本人に関していえば、03年あたりをピークに平均身長は伸び悩んでいるのでボディサイズ拡大の理由にはならないが、欧米ではまだ平均身長が伸び続けているようなので、世界的にみれば居住空間の拡大需要はまだある。
空力性能のためにもボディサイズは重要だ。車体にぶつかる空気の壁をなるべく抵抗少なくやり過ごすためには滑らかなボディラインが必要で、高速走行時の燃費改善にはむしろボディサイズを大きくしたほうがいいのだ。
デザインのためのサイズアップも影響している。もっともこれは、前述の要素である衝突安全性能向上のためのサイズアップがあっての副産物ともいえる。つまりボディサイズが拡大したことによって、デザインの自由度が高まったのだ。
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