「クルマのボディサイズ」が大きくなっている、これだけの理由:高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)
「クルマの大きくなっているなあ」と感じる人も多いのでは。駐車場は狭いままなのに、なぜ大きくなっているのか。背景を探っていくと……。
クルマにいろいろ盛り込むのはいかがなものか
その一方で、ボディサイズを含めて機能充実、高性能化へと向かってきたトレンドにも変化が訪れた印象がある。
欧州ではミニマル(必要最小限)な生活を求めて、昔のアナログ時代のクルマを求める層が目立ち始めている。小さなボディに小さな排気量、キャブレターとディストリビュータによる制御のエンジンは、燃費はそれほど良くなくても壊れても簡単に修理することができる。DIYが常識な地域ならではのムーブメントともいえるだろう。
単に燃費向上による化石燃料の削減ではなく、製造から廃棄までの環境負荷を考えると1台のクルマを長く乗ることは、本当のエコロジーへとつながる。
それはボディサイズが拡大する一方であった、これまでの潮流を変化させていくものになるかもしれない。大きなボディのクルマは、雄々しい雰囲気を放つことでも人気がある。それはそれで趣味の範疇(はんちゅう)として楽しめばいい。
例えば電動のマイクロモビリティは、危険な一面もあるが使い方を限定して安全に配慮すれば、効率よく移動できる手段であることは間違いない。
さまざまなモビリティの使い分けも含めて、個人オーナーが移動のために利用できる手段は豊富に用意できる時代だ。1台のクルマにいろいろ盛り込みすべての移動を済ませようとするのは、そろそろ改めるべきときにきているのではないだろうか。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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