普通のカフェが2人で1万円! ニューヨークで分かった「安すぎるニッポン」の現在地:激しい日米“格差”(4/6 ページ)
物価が高いと有名なニューヨーク。著者が実際に行った経験を基に、日本との格差がどれくらいなのかを解説。まだまだ「安いニッポン」だが、手放しで喜べない理由もありそうで……。
実際にニューヨークの飲食事情を知り、日本食を中心にマンハッタンと東京でどれほどの物価差があるのか、少し整理してみたくなりました。当社で使用している「プライス設定表」に日米価格を落とし込んでみると、その差は一目瞭然です(23年9月初旬時点でのマンハッタンと東京の価格基準)。
日米で全く同じメニューを展開していない場合には、類似メニューで比較しています。従って、全て同条件での比較ではありませんが、日本企業各社が設けている日米での価格差は明白です。
吉野家の「牛丼並盛(店内)」は448円です。一方、ニューヨークでは1432円です。差は約3倍に及びます。ゴーゴーカレーの「ロースカツカレー(S)」は、国内750円に対して米国は2385円と、こちらも3倍ほどの価格差があります。マクドナルドの「ビッグマックセット」は約1.8倍と、こちらが値ごろに感じてしまうほどです。日米価格差は予想以上に大きいというのが正直なところです。
参考までに、日本で展開するサイゼリヤの「ハンバーグステーキランチ」は500円、餃子の王将「炒飯」は550円です。米国と比較して、驚くほどの安さではありませんか。ニューヨークで働くビジネスパーソンが、東京でランチに出かけたら、あまりの安さに腰を抜かすのではないかと思うほどです。日本では物価が上がっており、飲食店各社の値上げも続いているとはいえ、いかに恵まれているかを実感させられる内容です。
米国人の目で見てみるとどうなるか?
ここまでは、日本人の貨幣価値を基準にした価格差の視点で見てきました。しかし、ニューヨーク・マンハッタンなどに住む米国人は、日本円に換算して考えません。ここからは、ドルベースで考えます。
前述の、ミッドタウンにあるつるとんたんで38ドルのランチセットを食べている人が、日本のつるとんたんでお昼を食べようとしたら、どんなものを頼めるのでしょうか。探してみると、ランチメニューに同様の価格帯のものはなく、宴会メニューの「おうどんのお鍋(関東限定)」に行き当たりました。1人前で5500円です。
まさに「ご馳走」です。ニューヨークでランチに38ドル程度を支払っている人が、予算を変えずにそのままの感覚で日本でうどんを食べようとしたら、これだけの豪華メニューに変わるということです。
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